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臨時国会の重要テーマは「自然災害への危機管理」

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再構築が求められる予知の取り組み

 岐阜県と長野県にまたがる御嶽山が噴火したのは、土曜日で登山客も多い9月27日。50人以上が死亡する戦後最悪の火山災害となってしまった。

 直後に臨時国会が始まったのだが、代表質問を聞いて私はがっかりした。

 民主党の海江田代表や自民党の谷垣幹事長らは、「災害が起きた後の迅速な対応が必要」と安倍首相に尋ねた。これに対し、「必要な法整備を含めて、ハードとソフトを組み合わせて総合的な対策を進めたい」と首相。

 だが、極めて甘い。どこかのテレビ番組風に言えば「喝!」である。与野党の政府への突っ込みも型どおりだし、安倍首相の答弁も認識が薄い。

 そもそも私は、読者のみなさんなどからこの臨時国会の主要テーマは何かと聞かれ、3本柱を答えてきた。それは「地方創生」「女性政策」、ここまでは安倍首相の提起と同じだが、3つ目は「自然災害に対する危機管理」である。御嶽山噴火は直前のことで想定外だったが、私が「自然災害」を挙げていたのはこの夏の豪雨災害が多くの命を奪い、あちらこちらで大きな被害を出していたからだ。

イラスト/のり

イラスト/のり

 8月20日に広島市で発生した豪雨による大規模な土砂災害は74人の死者を出す大惨事になった。それだけではない。京都をはじめ、この夏前後の豪雨は日本各地で被害をもたらした。

 天災や自然災害だから「仕方ない」「予測できない」などというのは大間違い。「国民の生命財産を守る」とは安倍首相が安全保障論でよく使う言葉。だが、「国民の命を守る」のは、何も紛争やテロなど人為的な危機からだけではない。「自然災害」も「敵」ではないか。自然災害では豪雨以外にも、9月16日に関東で震度5弱の地震が起きている。地震大国で、活火山を有し、その上に国土が走る日本なのだ。

 代表質問での質疑は、ひとたび災害が起きたあとの迅速な救助や、被災者への手当てなどが中心だったが、そんなレベルではダメだと思う。特に再構築が必要なのは発生後ではなく事前の「予知」の取り組みである。

 例えば、大雨、地震、火山活動などを予知する研究調査を民間や海外の研究機関も含めてさらに本格的な国家プロジェクトにし、予算の大幅な増額が必要だろう。公共事業などを見直して予算を優先させるべきだ。

 「予知」に基づく避難命令は広島のときも遅かった。いつも後手に回る。深夜など特に遅れる。ならば24時間の災害監視体制では、24時間活動する民間も加えた組織を作ったり、自治体の首長だけではなく、当事者に広く柔軟に命令を発する権限を与える法整備もあっていい。

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