経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

不動産売買と税金――おいしい部分はシャケと一緒

税務・会計心得帳

 「シャケで一番おいしいところは、身と皮の間」と言いますが、税務的にも「税目と税目の間の取引」が、最もおいしい部分です。例えば、個人と法人との取引です。これは、所得税と法人税の谷間で、専門的には「クロスボーダー税務」と呼ばれます。

 今回は、「個人の不動産を自社(同族会社)に売る」という想定の下、クロスボーダー税務のポイントを解説します。

不動産の低額譲渡と「みなし譲渡課税」

 不動産の売買は、時価取引が原則で、この原則どおりの取引なら税務上の問題は何も発生しません。取引で発生した個人所得・譲渡益に対する税金を支払えば済む話です。

 ただし、時価より安く不動産を売却(譲渡)すると、売買価格と時価との差額が法人の受贈益になり、個人についても、「みなし譲渡課税」(所法59・所令169)の適用対象になることがあります。この場合、「時価で売ったもの」として所得税が計算され、譲渡額をいくら安くしても、支払う税金は変わらなくなります。

譲渡額は時価の半額以上で税金の支払いにメリット

 土地・建物を売った場合、通常は実際の売り値を収入金額として譲渡所得が算定されます。ただし、売却先が法人で、かつ「時価の2分の1未満」で売った場合には、「みなし譲渡課税」の決まりに基づき、実際に売った値段ではなく、その時の時価を収入金額として譲渡所得が計算されます。

 例えば、同族会社の代表者個人がその会社に時価1億円の土地を4500万円で売ったなら、実際の売却額ではなく、時価の1億円が譲渡所得と見なされ、課税されるわけです。

 ところが逆に、「時価の2分の1以上」の価格で売った場合は、「みなし譲渡課税」の適用対象外となり、実際に売った金額で個人の所得税が計算されます。

 もちろん、法人側では、時価と売買価格との差が受贈益となり、課税対象となりますが、その法人が赤字の場合、赤字と受贈益が相殺されます。そして、赤字が受贈益を超えているなら、法人には税金は掛からないのです。しかも、個人は譲渡益が時価売買の半分で済むことになり、結果、支払う税金も半分になるということです。

 

税務・会計心得帳 本郷孔洋氏の記事一覧はこちら

 
経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan
 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界ウェブトップへ戻る