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“自民の中村主水”山口俊一特命担当相の知られざる一面

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頑固で信念を貫く党議拘束破りの常習犯

 「人当たりが良く、クセがない。一方で、幅広い知識を持っている政策通だ」

 内閣改造で初入閣を果たした〝遅咲き議員〟、徳島2区選出の山口俊一内閣府特命担当相(64歳)をよく知る自民党議員はこう語る。当選8回、麻生派の中では会長である麻生太郎財務相兼副総理に次ぐ当選回数だ。

 「いや、もう1人手を挙げているから、答えましょう」

 印象的なシーンだった。9月3日、第2次安倍晋三内閣改造人事発表後の就任会見で、山口氏が、時間がないと打ち切ろうとした司会者をさりげなく制止して質問に答えた。柔和な表情、やわらかな物腰。アクの強い自民党古参議員の中で、これまで目立たなかったのもうなずける。

イラスト/のり

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 しかし、一方で見掛けとは裏腹な一面を持ち、それが入閣を遅らせていたと、自民党関係者は指摘する。

 「ああ見えて実は山口さんは、頑固で信念を貫く人。それゆえ、党議拘束破りの〝常習犯〟。ペナルティーを何度も食らい、その都度入閣を見送られていた」

 1991年、小選挙区制度導入で荒れた政治改革国会の最中、野党6会派が宮澤喜一首相への内閣不信任案を提出した際、山口氏は本会議を欠席。理由は「政治改革をやると言っていたのに、やらなかったから」だという。党紀委員会で役職停止2カ月、厳重注意の処分を受けた。

 93年、細川護煕内閣時の政治改革関連法案の採決では、自民党は反対の党議決定をしたにもかかわらず、賛成票を投じた。その代償は役職停止10カ月。続く翌94年、自社連立の村山富市氏の首班指名の際も「海部俊樹」と書き、戒告処分を受けた。

 極めつけは、2005年の郵政民営化法案の採決で反対票を投じ、除名、離党勧告の処分が下され、離党したことだ。無所属で解散総選挙を戦い、第1次安倍政権でようやく復党した。

 「復党して入閣できるかと思っていたら、今度は下野した。しかし、遠回りとか損をしたとは思っていません。政治家として筋を通した結果ですから」

 本人はこう言って笑う。しなやかな若竹のように、柔軟さと強靭さを兼ね備えているといっていいだろう。また、相手が誰であろうともお構いなしのエピソードがある。

 12年に政権奪還して、ある時、石破茂幹事長(当時)から「同じ出戻り組だから、仲良くやろう」と声を掛けられた。その際、「あなたは一度は自民党を見限って出ていったが、私はやむにやまれず離党した。石破さんのほうが罪深い」と、笑顔で切り返した。周りがドキリとする冗談をさらりと言う。譲れない部分をはっきりさせる強さと、嫌みを感じさせないスマートさが出ている話だ。

強く怖い武器を手にした安倍内閣

 郵政民営化反対で同じ行動を取った野田聖子前総務会長は、山口氏についてこう語る。

 「決して居丈高ではなく、感情を表に出すタイプではない。しかし、信念は曲げない強い意思を持っている。だから信頼を寄せられるが、政局で動く人たちには逆に怖いところでしょう」

 例えば侍の世界でいうと、無言で斬る仕事人だという。刀をすぐに抜いてうるさく言うようなタイプが多いだけに、日和見相手には、黙って相手の意見に耳を傾けながら、最後はバッサリ一刀両断するというのだ。あるベテラン議員もこう言う。

 「まさに一見、昼行燈の中村主水のようだ。例えば、先の通常国会後に集団的自衛権の憲法解釈容認を臨時閣議で閣議決定したが、同じようなことが起きたら堂々と了承しないだろう」

 安倍内閣は強い武器と同時に、怖い武器を手にしたとの指摘だ。しかし、安倍首相の期待度は、担当分野の広さからもうかがえる。

 「沖縄および北方担当」「科学技術政策・宇宙政策」「情報通信技術(IT)政策」「再チャレンジ」「クールジャパン戦略」で、改造前の安倍内閣では、山本一太氏(沖縄および北方、科学技術、宇宙政策)、稲田朋美氏(再チャレンジ、クールジャパン戦略)が担当していた部門を一手に任された格好なのだ。

 その裏付けは、山口氏のキャリアにある。長く自民党政調の社会部会副部会長を務めたことから、自らを「もともとは〝厚生族〟だった」と語る。しかし96年、郵政政務次官に就任すると、周りから〝郵政族〟と呼ばれるほど郵政に精通していく。

 「それまでテレビとビデオをつなげなかったほど機械オンチだったのに、パソコンやITの面白さに目覚めてしまった」

 好奇心旺盛ゆえに、党内きっての幅広い政策通として知られ、だからこその起用だといえよう。女性閣僚が相次いで辞任した中、〝自民党の中村主水〟が今後どんな仕事をするのか。けだし見ものである。

 

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