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「NIPPONを憧れの国から今行きたい国へ」--松山良一(日本政府観光局 理事長)

日本政府観光局 理事長 松山良一氏

東京五輪までに行うべきこと

── 東京五輪、ラグビーワールドカップの影響は。

松山 2019年にラグビーのワールドカップが、20年に東京オリンピック・パラリンピック(五輪)が、そして一般的にはまだ知られていないのですが、21年に関西でワールドマスターズという大会が行われるんです。お金を払えば誰でも参加でき、五輪に比べて、参加者数も倍の2万6千人が日本に来られるんですよ。しかも、お金持ちが多いですから、一族郎党引き連れて経済効果も非常に高い。こういったメガイベントがあるわけですから、経済効果はもちろんのこと、訪日される方と相互理解を深めて日本のファンをつくるということが大事ですね。

世界各国・地域への外国人訪問者数── ロンドンも五輪後、観光客を増やしました。

松山 00年のシドニー大会が初めて五輪と観光をからめた準備をしてきたんです。以前は、オペラハウスくらいしか名所が浮かばなかったのですが、今は人気の観光地になっています。ロンドンも五輪後に観光客を増やしましたが、その大きな理由はイギリスのイメージを変えたことです。イギリスは、ジェントルマンの国ではありますが、一方で、交通機関は遅れる、食事はまずい、気取っているなどネガティブなイメージも多かった。それを、五輪をきっかけに「ウェルカムな国」というイメージに変化できたんです。日本も五輪に合わせレガシー(遺産)をどう生かすか真剣に考えているところです。日本というブランドを売り出すチャンスですからね。また、文化イベントを行うようにIOCからも言われているんですよ。

── IOCからですか。

松山 16年に行われるリオデジャネイロ五輪が終わった後の4年間で、スポーツだけでなくアートや演劇、音楽祭など日本全国でイベントを行います。次の開催地として各国から注目されるチャンスですから、東京だけでなく地方の情報も発信していければと思っています。そういった意味では、東京五輪ですが日本全体で開催するつもりでいかねばなりません。

── 訪日客数2千万人に向けてやるべきことは。

松山 まずは3つの意識改革が必要です。

 これまでの日本を支えた「ものづくり」頼みを脱却し、観光を農業とともに基幹産業にする意識を持たなければなりません。

 もうひとつは、観光消費額が現在25兆円程あるのですが、そのうち90%以上が内需で、外需は最近ようやく1割程度にまで増えたばかりです。地方に至っては、外需はわずか1%程。ですから、旅館などの周辺産業もいまだ日本だけ見ているといった状況です。諸外国を見てみると、韓国は47%、フランスは34%と外需の割合が多くなっています。ビジネスチャンスは確実にありますからもっと外を向いていただくことが大事ですね。

 3つ目が、日本人は道に迷った観光客に対して言葉は分からないけれど目的地まで連れて行くといった親切な国民性を持っていますが、言葉に対するコンプレックスは強いわけです。こればかりは、教えて直るものでもありません。外国人観光客の多い岐阜県高山市では、小学生が外国人の先生と一緒に観光客をおもてなししています。「習うより、慣れろ」ということですね。

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