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「政治とカネ」に揺れる安倍内閣の危機管理策「上書き」とは

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重要政策課題の前倒しで世間の目をそらす

 ただ、安倍首相にミスがあったとすれば、それは、今回の人事で「来年の総裁選を意識したこと」だとベテラン議員は言う。

 「長期政権のためには来年9月の総裁選で再選しなければならない。そのためには各派閥に支援してもらわなければならず、今回、各派閥に気を使って推薦してきた人間をできる限り入れた。派閥が推すなら身辺調査は大丈夫だろうという死角もあった」

 閣僚の負の連鎖に対して安倍首相・菅官房長官も手をこまねいているわけではない。別の自民党ベテランは、「安倍・菅コンビで『上書き』を進めている」と話す。「上書き」とは、重要政策課題をどんどん前倒して被せていくことで閣僚問題を消して行くという危機管理の手法だ。

 「ダブル辞任と同じ日の10月20日に菅さんは、『北朝鮮に代表団を派遣する』ことを明らかにした。また、その2日後の22日、自民党内に消費税10%に慎重な議員約40人が集結して勉強会を開いていきなり激しく消費税論議が始まった。この日の夜のテレビニュースは、もはやダブル辞任の余波などほとんど伝えず、『党内を二分する消費税論議が始まった』と時間を割いて伝えていた。この動きの陰にも、菅官房長官の存在があり、実は慎重派の勉強会は菅さんが主宰の山本幸三議員に勧めたと聞いている」(同ベテラン)

 ダブル辞任から世間とマスコミの目をそらせるために、1丁目1番地の「拉致問題」や「消費税論議」を全面に出していく。「官邸、特に菅さんの真骨頂だ」と同ベテランは言う。

 しかし、野党は久々に元気だ。7党で「政治とカネ、それに任命責任を徹底してやる」と合意した。今後も、委員会での閣僚の答弁などによっては審議がストップし、法案などが先送りとなる可能性もある。一気に内閣の支持率は下がってはいないが、こうしたボディブローが続くと、閣内の歯車が少しずつズレ始め、大きな失政につながる。

 安倍首相側近はこう言う。

 「(ASEMのイタリアから)帰国してから1週間、官邸内で冗談はゼロです」

 その危機感を感じ始めているのはほかの誰でもない。安倍首相自身かもしれない。

 

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