経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

不動産バブルが崩壊し、株バブルが始まった中国の謎

変貌するアジア

中国の不動産バブルが崩壊

 中国の不動産バブルが弾けたようだ。2014年5月以来、70都市のほとんどで7カ月連続の価格下落である。

 日本でもたびたび報道されているが、高級マンションをはじめとするゴーストタウンが中国のあちこちに出現している。また、マンション等の空き室が今では1億戸に上るとも言われる。これで不動産の値崩れが起こらないほうが不思議である。

 実は、それと反比例するかのように、2014年秋以降、中国本土の株式市場の上場銘柄の値動きを示す上海総合指数が急上昇している。3月14日には1974ポイントという2014年の最安値を付けたが、秋から徐々に株価が上がり、12月9日には3091ポイントの年間最高値を記録した(2014年12月10日現在)。

 投資家が値崩れの止まらない不動産に見切りをつけて、株への投資を始めたのだろう。マンション建設や石炭発掘に回っているはずの年利のよい「理財商品」(ハイリスク・ハイリターンの投機品)がしばしば償還されないため、投資家はもっと安全な投資としての株へ走ったと思われる。その結果、景気が減速しているのに、上海総合指数は株高になるという現象が起きた。

 一般に、株価は経済の先行指数と言われる。そのため、本来であれば、株価の上昇は歓迎すべき兆候のはずである。だが今の中国は、経済成長が鈍化しているのに株価が上昇するという妙な事態になっており、実態経済が伴っていないバルブの可能性が高い。不動産バブルが終焉し、再び株バブルが到来したのではないだろうか。

 中国は景気浮揚か、それともインフレ突入か!?

 2014年11月21日、中国人民銀行(中央銀行)が2年4カ月ぶりに期間1年の貸出金利を0.4ポイント下げて5.6%とし、1年物預金金利を0.25ポイント下げて2.75%とした。人民銀行が利下げへ踏み切ったのは、経済を刺激し、成長を加速するためである。もっとも、この措置では、中国国内にインフレが起きる懸念があり、同時にカネがさらに株へ向かう可能性もはらんでいる。

 しかし、輸出と不動産開発に依存している中国経済は、近年、成長が落ち込んでいる。「グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト」によれば、中国の国内総生産(GDP)に占める輸出依存度は、2013年には同国単独で23.7%だが、香港(単独では194.19%)経由での輸出を含めると、もう少し数値は高くなるだろう。だが、欧州連合(EU)をはじめ、世界的な景気減速で、中国の輸出はあまり伸びていない。

 一方、BRICs辞典によれば、総固定資本形成で、中国はGDPの45%以上もの割合を占める。今の中国では、社会保障の不備(失業保険・疾病保険・年金)により、内需主導への転換は起こりにくい。子供への教育費高騰も一因である。一般家庭では、給与の約40%以上を貯金しなければ、いつ借金地獄に落ちるかわからない状況だという。したがって、GDPに占める消費の割合は35%あればよいほうだろう。

 中国の腐敗・汚職撲滅運動で景気が後退!?

  最近、習近平政権は、「新常態」(ニュー・ノーマル)という言葉を使い始めている。経済を自然に任せるという意味だが、実際には、単に打つ手がなく、お手上げ状態なのかもしれない。

 中国共産党は、現時点で、経済成長鈍化を回復する術を持っていない。なぜなら、財政出動できないからである。

 2008年のリーマン・ショックの際、胡錦濤政権は、4兆元(約60兆円)の財政出動により、落ち込んだ景気をV字回復させた。当時は、中国が世界経済を救ったと称賛されたものである。だが、本当は財政出動額の桁数が1桁違う(40兆元<約600兆円>)という指摘もある(例えば、産経新聞上海支局長の河崎眞澄氏)。

 ブルームバーグの報道によれば、政府や民間の借金は、2150兆円に達していると言われる。実に中国のGDPの約2倍以上である。もし、この報道が事実ならば、財政出動は難しい。

 他方、中国の外貨準備高は世界一で400兆円あるとされる。だが、その一部は、銀行の不良債権償却に充てられているとの疑惑がある。また、中国は外貨準備高のうち、半分の200兆円は米国債であると主張しているが、米国の統計では中国の米国債は130兆しかないとされる。ならば、差額の70兆円はどこに消えたのだろうか。もしかしたら、党・政府幹部の懐に入り、すでに海外の銀行に預けられているのかもしれない。

 ところで、現在、習近平政権は、「腐敗・汚職撲滅運動」を展開しており、いわゆる「贅沢禁止令」を打ち出した。クリーンな政治を目指すことがうたわれているが、実際には、賄賂となる高額の贈答品の授受が減り消費を冷ますことから、経済成長の阻害要因ともなっている。皮肉なことだが、党・政府幹部の贅沢三昧を認めたほうが消費が増え、経済成長につながるという妙な構造になっている。

 

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