経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

3本目の矢を射るのは民間の責務である

視点

 アベノミクスの効果は、真っ先に行き過ぎた円高からの脱却と株高として表れ、まずはわが国経済回復への期待感を生み出すことに成功した。この明るく前向きな期待感を、実際の経済成長と持続的な経済の活性化へとつなげていくためには、第3の矢である成長戦略が何よりも重要である。特に民間ベースの投資を伴う成長戦略については、国の環境整備は必要だが、それ以上に民間が主体となって取り組む姿勢が何よりも大切だ。

 成長戦略を軌道に乗せるために企業として果たすべき役割は生産性の向上だ。それも単なる生産性ではなく、技術進歩や効率性の向上も含む全要素生産性(Total Factor Productivity)を向上させていかなければならない。そのポイントは一人ひとりの心のありようだ。生産性が向上すれば、おのずと成長戦略の結果は出てくる。デフレを脱却し経済を発展させるために、何としても分配の向上へとつなげていきたい。労働への分配、資本への分配、国に納める租税への分配、さらに社会貢献のための分配も必要だ。景気とは空気の景色であるといわれる。全要素生産性を向上させることは、すなわち空気の景色を変えていくことにほかならない。

 そしてもうひとつのポイントは、イノベーションである。今後、生産年齢人口が決定的に減少していくわが国においては、イノベーションを通じた生産性の向上以外に発展の道はない。

 手前味噌になるが、先ごろ当社は段ボールの新たなイノベーションとして「デルタフルート」という新規格を開発した。段ボールは100年前も今も、その基本的な構造は全く変わっていない。JISに規定される規格も3つしかない。それで十分ニーズに対応できていたし、皆変える必要はないと思い込んでいたからだが、消費の多様化、高度化、物流の発達、環境意識の高まりなど、世の中は刻々と変化しており、段ボールもそれに合わせて進化しなくてはいけない。トップメーカーの責務として、自らイノベーションの風を起こし、世界にその心意気を示すとともに、新たな需要を開拓したいと思っている。

 現場にこそ真理がある。それぞれの現場を熟知した民間のわれわれこそが、新しいイノベーションの風を起こしていく主役だ。日本中がそんなアニマル・スピリットを持った、若々しくエネルギッシュな国でありたい。

 本当の意味での日本再生に向けて、われわれ民間の一人ひとりが何ができるかを真剣に考え、自立と自律の精神で矜持を持ち、自らできることを率先垂範して企業業績の向上、国富の向上に努力していかなければならない。

 今こそ、国が国民のために何をなすかを問うと同時に、国民が国のために何をなすかも真剣に考えなければならないと思う。この国の未来に対して責任を負っているのは政治だけではない。

 

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