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タクシー初乗り400円台で市場は活性化するか――国土交通省

国土交通省は「初乗り2キロメートルで運賃730円」となっている現行の東京地区のタクシー初乗り運賃について、初乗り距離を短くした上で400円台に引き下げる審査を始めた。早ければ年内にも認可される。比較的短距離の利用が多い高齢者や訪日外国人旅行者の需要を掘り起こす効果が見込まれる。

審査に入ったのは、東京23区と武蔵野市、三鷹市での運賃。距離短縮と併せた料金組み換えについては、関東運輸局が3月、最初の申請から3カ月以内に、営業区域の総車両台数のうち7割以上を保有するタクシー会社が同様の組み換えを申請して認められれば、区域全体の運賃体系が変更されると公示していた。

公示を受けて、タクシー大手の日本交通が4月5日、「初乗りが1.059キロメートルで運賃410円。それ以降は237メートルごとに80円」とする運賃改定を申請。3カ月後となる7月5日までに、同様の申請が8割を超えた。

初乗り料金の引き下げは、タクシー会社にとって収入減にもつながりかねないが、背に腹は代えられない事情もある。

タクシー業界はリーマンショック以降に需要が低迷。政府は特定地域に限って、一定期間の新規参入を禁止するなど業界の下支えを図ったが、航空や鉄道などの旅客市場全体が回復基調にある一方、タクシー需要は右肩下がりの傾向が続く。国交省によると、2014年度の国内輸送人数は05年度比で3割近くも減少している。

そこで業界が着目したのが、訪日客や高齢者などをターゲットにした短距離需要の獲得だ。もともとタクシーは短距離の利用者が少なくないが、「730円という初乗り運賃に割高感があり、需要の取りこぼしもあった」(業界関係者)。海外で広がりをみせるライドシェア(自家用車を使った輸送サービス)との国内競争も視野に入る中、価格サービスの向上は不可欠で、国交省も市場活性化につながると期待している。

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