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石灰石が紙やプラスチックに。“地球を救う”新素材LIMEX(ライメックス)に懸ける―山﨑敦義(TBM社長)

画期的な素材「LIMEX(ライメックス)」とは

「LIMEX(ライメックス)」は石灰石から誕生した新素材である。

ライメックスペーパーは木や水を一切使用せずに作られ、ライメックスプラスチックは従来のプラスチックと比べて石油由来素材の使用量を5割以上下げる。画期的なこの素材を開発したのが、山﨑敦義社長率いるTBMだ。TBMとは、Times Bridge Managementの頭文字で、「時代の架け橋となる会社にしたい」という山﨑社長の想いが込められている。

山﨑社長が台湾製 “ストーンペーパー”に出合ったのは2008年。素材の持つポテンシャルに圧倒されるも、市場に受け入れられるには比重の重さや価格の高さ、品質の安定性が課題だった。

これらをクリアすべく、自らの手で事業化することを決意。

「いつかグローバルに勝負ができ、社会貢献できる事業を手掛けたいと思っていました。それがこの紙だと確信しました」と山﨑社長は言う。

開発を後押ししてくれたのは、長年、製紙業界で活躍し、現在会長を務める「紙の神様」角祐一郎氏との縁。幾度も資金面の困難に見舞われたが「技術の確立に期待してくれる人が世界各国にいた」からあきらめずに続けられたという。そして、12年には経産省の補助金給付が決定。開発に弾みがついた。

森林・水資源が乏しい国へライメックスのプラント輸出も視野

現在は宮城県白石蔵王で第一パイロットプラントが稼働。奇しくも白石和紙で名を知られた伝統の地だ。第二プラントも同県多賀城市に建設予定。従業員を現地雇用し、震災復興にも一役買っている。

折れ曲がりにくく、耐水性もあるLIMEXの名刺

折れ曲がりにくく、耐水性もあるLIMEXの名刺。1箱で10リットルの水を守ることができる

「“循環可能”がキーワードのひとつです。原料が石灰石のライメックスペーパーは経年変化に強く半永久的にリサイクル可能です。同時に組織もそうありたい。人が循環し、100年先も若い人たちが夢を見て挑戦し続けられる会社にしたいですね」

LIMEXは世界43カ国にて特許を取得・申請中。「製品だけでなく、森林・水資源が乏しい国へプラント輸出もしたい」と語る。東京大学と環境影響評価を行う共同研究もスタート。地球を救う素材へ。LIMEXの挑戦は、始まったばかりだ。

やまさき・のぶよし──1973年生まれ、大阪府岸和田市出身。20歳で中古車販売業を起業。その後、複数の事業を立ち上げ、30代の2011年に株式会社TBMを設立。石灰石を原料とした新素材「LIMEX」の開発を行う。14年ニッポン新事業創出大賞「復興賞」受賞。Job Creation 2015「特別賞」受賞。Japan Venture Awards 2016「東日本大震災復興賞」受賞。

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