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ネット配信料を自ら決めたいNHKに異議――総務省

籾井勝人・NHK会長

籾井勝人・NHK会長

NHKが現在試験運用中のインターネット24時間同時配信サービスを開始した場合の受信料をめぐり、総務省とNHKがつばぜり合いを演じている。国民的関心の高いNHK番組のネット配信受信料について、籾井勝人・NHK会長が11月9日の定例会見で、「われわれが料金体系を作る」と述べたのが事の始まり。それを受けて、高市早苗総務相は2日後の閣議後会見で、「有識者検討会の議論を踏まえて総務省が具体的な制度設計を行う」とクギを刺した。

籾井会長は「番組の同時配信でいろいろお金がいるかもしれないが、(設備投資などの)見通しはついており、それらを折り込んで資金計画を作っている」と述べ、ネット同時配信を前提に準備を進めていることを示唆。受信料についても「あなた任せにはできない」と述べ、自ら決めたいとの考えを示している。

総務省はネット同時配信サービスの収益増による「NHK巨大化」を懸念しており、「ネット同時配信と経営への監督強化は表裏一体」(総合通信基盤局)で有識者検討会とのコンセンサスも得ている。検討会では、ネット同時配信を認める放送法改正、ネット同時配信の受信料制度、NHKのガバナンス(企業統治)強化の3テーマを議論することになっている。

高市総務相は「24時間同時配信を認めるかどうかは何ら決まっていない。サービスの費用を誰がどう負担するかも決まっていない。受信料制度も公平負担の徹底と納得感のある受信料、ガバナンスの三位一体の議論の中で検討していく」と強調した。ただ、この発言は裏を返せば、これまでも言われた制度論の答弁をそのまま読んだだけの内容。総務省が振り付けをしたのは明白。ネット24時間同時配信というアメと引き替えにNHKへの監督強化というムチをどう振るうか、総務省の深慮遠謀が透けてみえる。

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