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囲碁の一手―― 時間をかけて考える棋士の頭の中は

小川誠子の囲碁便り

一手に16時間を費やした棋士も

 皆さまは対局中での一手に、どのくらい時間を使われますか? お昼休みに打つ方は、きっと早打ちでしょうね。

 もちろん考えるのが大好きで長考派の方もいらっしゃるでしょう。アマの世界では、早打ち派の方が好かれるようです。たくさん対局を打ちたいですものね。

「ところで、プロは一手にどのくらい費やすことがありますか」

 とよく聞かれます。最近は持ち時間が少なくなってきていますから、1時間考えると長いほうでしょう。

 以前まだ持ち時間が無制限だった頃は、星野紀先生が16時間、一手に費やしたと記されています。

一手を考える間、囲碁の神様と遊ぶ

 現代に入り、持ち時間制度ができてから私が記憶しているのでは1989年、本因坊戦の挑戦手合で、武宮正樹九段が一手に5時間7分考えられたこと、印象深いです。

 それも布石の定石での段階ですから、棋士仲間も驚いていましたし、話題になりました。

「頭の中身をのぞいてみたいね」

「どれだけの変化を考えているのか」と。

 随分時が過ぎ、武宮さんにお聞きしたことがあります。

「いやー迷っていたんだよ。それにさまざまな変化をよんでいるうちに、どんどん深みにはまって、時が過ぎるのを忘れていたんだ」

 武宮さんは色紙によく「遊神」とお書きになります。盤上で囲碁の神様と遊んでいたのでしょうね。

 やはりこんな光景を見たことがあります。対局日、10時開始。30分ほど時間が過ぎふと先隣を見ると盤上には一手も置かれていません、瞑想しています。

 お昼休み休憩の直前についに一手目が。次の一手は何と2時間45分後に相手が打ち降ろしました。4時間半で二手のみ。これはお互いにあうんの気合いだったのでしょう。迫力を感じました。

 今、私が頭の中をのぞいてみたい人は井山裕太六冠。勝つヒントが見られるかもしれませんもの。

 
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