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革新の動きが始まる年

視点

  ここ数年、恒例にしている年始の書初めで、今年は「一陽来復」の四文字をしたためた。「一陽来復」の意味は世の中のエネルギーが悪い方向から好い方向に変わることである。新しい年を迎え、民主党の復活を祈念してこの四文字を選んだ。

 また新しい年は干支(えと)で言うと「甲午、きのえうま」。

 安倍総理は甲午の年の生まれで還暦を迎えたと聞く。与野党の立場を超えて、安倍総理には健勝を祈りたいと思う。

 ところで、甲午の年は、漢籍の泰斗である安岡正篤氏の『干支の活学』によれば、「甲はよろいで、よろいをつけた草木の芽がその殻を破って頭を少し出した象形文字で、これを人事に適用いたしますと、旧体制が破れて、革新の動きが始まるということである」という。午(うま)も同じで「反対勢力の高まりを示す」そうである。

 そう言えば120年前の甲午の年には朝鮮で、「甲午農民戦争(東学党の乱)」が起きている。この農民の乱は一定の成功をおさめ、全羅道では農民の自治政府が誕生し、李王朝の没落につながる動きとなった。

 安倍総理誕生の、60年前の甲午の年には、日本政治で大きな変化が生じた。西暦では1954年、つまり「55年体制」と呼ばれる、戦後の保守・革新の対立構造ができあがる前の年の出来事である。

 54年11月には、鳩山一郎氏を委員長にした新党結成準備会が結成され、同じ11月に、当時の自由党が安倍総理の祖父の岸信介氏、石橋湛山氏を除名する。

 そして11月24日には、自由党新党準備会派と改進党、日本自由党が合同して、日本民主党が誕生する。新しく誕生した民主党は12月6日に左右社会党と共同で衆議院に吉田内閣不信任案を提出する。

 それを受けて吉田内閣は総辞職し、新首相に鳩山一郎氏が指名される。同時に、民主党と社会党は共同で、翌55年3月までに衆議院の解散、総選挙を行うと声明を出す。そして、この約束通り、誕生したばかりの鳩山一郎総理は、翌年の1月に解散を行う。まさに、安岡氏が指摘する「旧体制が敗れて、革新の動きが始まる」年になったわけである。

 こうした歴史をひも解くと、今は盤石の態勢にあると思われている安倍政権も、意外ともろくも崩れ落ちる可能性を秘めているのではなかろうか。もちろん、60年前と現在とでは、国内の条件も日本を取り巻く世界の環境も大きく変わっていることは確かであるが、天然自然のエネルギーの流れは、万古不変のものがあるように思われてならない。

 国の指導者は、そうした大きなエネルギーの変化に思いを致して、慎重に政治のかじ取りをしなければならないわけだが、最近の安倍総理を見ていると、そうした慎重な姿勢や熟慮の跡を感じることができない。一見すると死角のない安倍政権だが、私はまさにこの点に危うさを感じる。

 

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