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問屋とメーカー その相乗効果で独自の成長戦略を貫く―アイネットホールディングス

アイネットホールディングス社長 小黒敏行


スーパー、ディスカウンターだけではなく、ドラッグストアにとっても欠かせない商材となった菓子。その販路が拡大し問屋がますます必要とされる中、問屋からメーカーに進出したアイネットホールティングスの独自戦略が業界内外から注目されている。

アイネットホールディングス社長 小黒敏行(おぐろ・としゆき)
アイネットホールディングス社長 小黒敏行(おぐろ・としゆき)

 1956年、菓子問屋からスタートしたアイネットホールディングス。現在は、問屋のアイネットと自社工場を3カ所、菓子ブランド会社5社を傘下に独自戦略で成長を続ける。

 「大手商社への吸収や中小の統合など菓子問屋の再編が進む中で、小売りに進出しチェーン店となった問屋もありますが、当社は2006年よりメーカーに進出しました。工場を一から立ち上げるのは苦労しましたが、今では問屋でありメーカーであることが成長エンジンになっています」と語るのはアイネットホールディングス社長の小黒敏行氏。

 今や菓子や食品のトレンドを生み出すのは、テレビやSNSで強い発信力を持つ店舗ブランドの高級スーパーや、高い品質で人気の食品・雑貨の専門店だ。自社のプライベートブランド(PB)や大手量販店にはないこだわりの商品を販売し、食品業界全体の売り上げを伸ばしている。

 「当社の顧客の中でも発信力の強い小売業態は、他社にはない新しい商品を求めています。当社は問屋として全国約500社の食品メーカーと取引があり、各社の特色を熟知しています。それらメーカーの中から顧客のニーズに合った商品を提案できますし、メーカーとしてトレンドを先取りした商品の企画や、新製品の提案も行えます。問屋でありメーカーだからこそできる多様な提案力が当社の強みです」と小黒氏。

 ここ数年、急増しているのが企業のOEMの依頼である。その理由は、メーカー機能を有するからこそ実現できる商品化までのスピードと、高い品質管理力だ。

 「菓子の製造は気温や湿度の変化に影響を受けやすく、品質管理が難しいのです。当社は人の手による製造ラインの調整によって、年間を通して安定した品質を実現しています。OEMが増えているのは、メーカーとしての品質管理の蓄積があればこそ」と小黒氏は説明する。

 「ぜひ、最近流行の小分けしたOEM商品の菓子売り場を見てください。その中で当社の商品は『きれい』で目を引くはずです。『きれいだから選ぶ。おいしいからまた買う』という好循環を生むのが、問屋としての売り場の提案力と、メーカーとしての蓄積の相乗効果なのです」

会社概要
設立 1956年3月
資本金 5,000万円
売上高 112億円
所在地 東京都杉並区
従業員数 260人
事業内容 小売店向け菓子卸、菓子オリジナルブランド企画製造、OEM。
https://www.ainet-kashi.co.jp/

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