経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

多品種少量生産に特化 技術と品質管理で新たな価値製品を創造―杉プラスチック工業

杉プラスチック工業社長 本村和也


食品・飲料水などの保存や販売に欠かせないプラスチック容器の成形メーカーである杉プラスチック工業。多品種少量生産に特化することで、大手だけでなく中小企業のニーズにもきめ細かく対応し、安定した成長を続けている。

杉プラスチック工業社長 本村和也(もとむら・かずや)
杉プラスチック工業社長 本村和也(もとむら・かずや)



 杉プラスチック工業の本社玄関には、塩コショウやドレッシング、焼酎など、私たちの生活で見慣れたペットボトル容器が展示されたショーケースがある。

 「大手メーカーでは参入しにくい多品種少量生産で、100種類以上の製品を提供しています」

 そう語るのは本村和也社長。なんと、恐竜展の開催に合わせてティラノサウルス頭部の形をしたペットボトルの依頼もあったという。当時、営業担当だった本村社長は「製作には苦労しましたが、お客さまも来場者も大変喜んでくれました。ものづくりの醍醐味ですね」と目を細める。

 本社がある福岡県大木町は海苔の生産で有名な有明海にほど近い。1960年代、味付け海苔の容器は重くて割れやすいガラス製品がほとんどだったが、同社は斬新な発想で密封できるプラスチック容器を開発。これが大ヒットとなり、今に至る発展の礎となった。

 「軽量、安価、安全」なプラスチック。その競争は激しく、新製品の開発や品質向上を図らなければ成長どころか現状維持も難しい。同社が誇る製品として、2000年から発売している「耐熱ペットボトル」がある。食品会社が作る「めんつゆ」などの液体調味料は85度程度で容器に充填されるが、従来のペットボトルは高温に弱く70度前後で変形してしまった。

 「原料と製造方法を見直して、87度まで耐えられるペットボトルの生産体制を整えました。自社での容器開発が難しい中小食品会社から『これで大手と戦える』と大好評でした」

 近年は顧客満足度調査を実施し、国際規格ISO9001認証も取得することで、品質管理の徹底を図っている。また、攻めの営業とともに、顧客対応にも真摯に取り組み、信頼を獲得する守りの姿勢も重視する。

 現在、プラスチックは環境問題に直面している。本村社長は「重要な課題だと考えています。理想はボトルtoボトル。再利用の循環を目指して取り組んでいきます。器は絶対に必要なものですから」と自らの信念を語る。
同社のキャッチフレーズは「仮想を現実に」だ。今までにない価値を創造する容器作りに終わりはない。

会社概要
設立 1969年4月
資本金 3,000万円
所在地 福岡県三潴郡
従業員数 112人
事業内容 ペットボトル容器、キャップ製造
https://www.sugipla.co.jp

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