経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

きめ細かな提案力で顧客のセキュリティーを支える―ワイズ

ワイズ社長 内藤芳郎


ネットワークセキュリティー機器を中心としたOEMメーカーのワイズ。コロナ禍のリモートワーク対応で、中小企業のネットワークサポート需要が増加。体温測定サーマルカメラの売り上げも急増し、堅調な経営を続ける。

ワイズ社長 内藤芳郎(ないとう・よしろう)
ワイズ社長 内藤芳郎(ないとう・よしろう)

手厚いサービスで信頼関係を築く

 昨今はスマホやPC、家電などのトラブルが発生した際に、問い合わせ窓口を探すのに時間がかかったり、電話ではなくメールやチャットボットの対応になったりすることが少なくない。しかし、そんな時代だからこそ「顧客が安心して相談できる企業が選ばれる」と話すのは内藤芳郎社長だ。

 ワイズは、マルチVPNルーターをはじめとした中小企業向けのネットワークセキュリティー機器の販売を主力としている。大手企業には情報セキュリティーの専門部署があり、専任の人員も確保されているが、中小企業にはそうした分野に精通している人材は少ない。しかし、中小企業も不正アクセスや情報漏洩などのリスクがあることに変わりはない。

 「大手企業のような堅牢なネットワークの構築は、導入コストもランニングコストも高額になります。そこで、中小企業のニーズに合ったソリューションを安価に提供するのがわれわれの役目なのです」

 現在、セキュリティー関連機器自体の性能はメーカーを問わず一定のレベルに達しており、その中で顧客に選ばれるのは、購入後のサービスが手厚い製品だという。

 「当社は販売会社と工事・保守会社を一本化し、ワンストップのサービス体制を実現しています。設置したら終わりではなく、トラブルがあった際にきめ細かく電話でサポートするなど、お客さまとの信頼関係を築いてきました。コロナ禍で当社に多くの相談が寄せられたのは、信頼関係のたまものだと考えています」

体温測定サーマルカメラがコロナ禍で需要アップ

 リモートワークが増加し、社員が自宅のPCから会社のネットワークにアクセスする場合のセキュリティー対策が急務となった企業も多い。

 新製品のマルチVPNルーター『STEALTHONE R500』は、家庭やコワーキングスペース、公共Wi‐Fiなどから安全にVPN接続が行えます。こうしたVPNルーターの設置など、テレワーク環境の整備はさまざまな助成金が活用できるケースもあるので、当社では費用面も含め最適な製品を提案しながら中小企業をサポートしています」

 コロナ禍で海外の工場が停止し、製品のパーツが不足した企業もあったが、ワイズは海外メーカーやサプライヤーと強力なネットワークを構築しており、安定した製品の供給を維持することができた。また、コロナは新たな需要も生み出した。感染拡大防止のために体温チェックが必要なケースが増え、体温測定サーマルカメラが一躍注目を浴びたのだ。

 「体温を測定するのはもちろん、AI顔認定システムの搭載により電気錠の開閉ができるものなど、セキュリティーとの連携が可能です。カメラの価格には幅があり、性能差も大きいですが、当社がセレクトしたカメラがたとえ高額でも選ばれるのは、『ワイズの提案なら安心』とお客さまに思ってもらえる関係を培ってきたからでしょう」
今後は5Gの時代に向けて、一層の情報セキュリティーの強化が求められる。

 「5Gでネットワークが高速化すると大量のデータが処理しやすくなる半面、セキュリティー対策が十分でなければ一瞬で情報が奪われたり消失するリスクが高まります。当然、各企業はセキュリティー環境をバージョンアップする必要性が出てくるでしょう。安心できる情報セキュリティー機器を選定し、提案する力がますます求められるのです」

男性が多い業界で女性を積極的に活用

 人材育成の面では、女性の積極的な活用にも力を入れ、出産後も継続して働く女性や、役職に就く女性も増えた。
「われわれの業界は圧倒的に男性が多いのですが、本来は男女関係なく能力が発揮できる分野です。出産しても働きやすい環境づくりや、役職に積極的に登用することで、長く働く女性が増えてきました。2021年に新卒で入社する18人のうち10人が女性で、今後の活躍を期待しています」

 同社では入社後の研修で全員が営業を経験し、現場を知ることを重視している。

 「日本を支える屋台骨である中小企業の悩みや苦労を理解しなければ、パートナーとして親身な対応はできません。若手でもどんどん仕事を任せるので、高いモチベーションで働いてもらえると思います」

体温測定サーマルカメラ。最大20人の体温が測定できる
体温測定サーマルカメラ。最大20人の体温が測定できる

 

会社概要
設立 1995年4月
資本金 5,000万円
売上高 36億円
所在地 東京都千代田区
従業員数 143人
事業内容 ネットワークセキュリティー商品の企画・開発・販売、統合型サーバー(ビジネスコントロールセンター)の企画・販売など
https://ys-net.ne.jp/

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