経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「短期の効果を狙うのではなく本質的な成長戦略を」--日本商工会議所会頭 三村明夫

観光、農林水産業で地方を活性化

-- 成長戦略の実行力が大事と岡村正前会頭も述べていましたが、最も政府に実行してほしいことは。

三村 成長戦略という言葉は非常にあいまいなので、はっきり定義したほうがいいと思うんです。今までのアベノミクスの「2本の矢」は、いわゆるショック療法だったと思います。金融緩和にしても財政政策にしても、今までのデフレ状況から脱するためのカンフル剤といったところです。第三の矢である成長戦略は、もっと中長期的なものでなければいけません。短期的な効果を狙うのではなく、本物の日本の成長力を増すための方策を考えなければいけません。それこそが成長戦略と言えるでしょう。

 成長する力は、国内の資本蓄積と労働人口と生産性の掛け算で算出されます。労働人口が減っていることを考えれば女性の力を活用するのは非常に重要な戦略と思うし、あまり議論されていませんが、人口対策も本質的に重要です。あとは資本生産性と労働生産性を上げるためには、やはり規制緩和が非常に大事です。資本蓄積を増やすためには、国内で投資をしやすくし、投資収益率を上げるような方策を取らなければなりません。成長戦略はいろんなメニューが今後も出てくるとは思いますが、目新しいことをやるよりも、TPPへの参加、法人税の減額、電気料金の引き下げ、エネルギー政策など、項目ごとに必要なことをきちんとやっていくことが重要。それぞれ時間がかかるとは思いますが、工程表を作りながらじっくりと取り組むことが必要です。

-- 商工会議所としては今後どんな取り組みを行っていきますか。

三村 これまでどおり、基本的な成長戦略が大事だということを何度も繰り返し主張していくことです。先ほど申し上げた価格転嫁の問題については、商工会議所の最重要課題として全力を挙げたい。

 あとは短期的には難しいですが、各地域を元気にする方策として観光振興を挙げたいと思います。先日、北海道に行ってつくづく思いましたが、札幌への一極集中が進んでいて、多くの人がそこに集まってくる。こうした現象は大なり小なり各地にはあって、中心都市以外で少子化が進んでいます。これをどうやって活性化させるかは難しい問題ですが、例えば2020年のオリンピック・パラリンピックを東京だけのものにしないで、各地域が長所を見直し、インバウンドに限らず国内からの観光客も増やす動きを力強くやることです。例えば工業団地をつくって企業を誘致するといった、全く新しい試みではなく、各地に存在する資源に目を向けて魅力を再発見し、売り出すほうが重要です。そうした先行実績はいくつもあります。各商工会議所が中心になって地方の魅力を再発見していくべきだと思っています。

 農林水産業の復活も課題です。日本の農林水産業は、潜在的な力をまだ認識していません。例えば、日本の木材は規格や品質がしっかりしていて、輸出しても十分競争力があります。農業に関しては、製造業や建設業など、ほかの産業との結び付きで新しい産業に育っていくことを非常に楽しみにしています。そして、成功事例が出てきたときには、各地域に情報を公開して地域の活性化に役立てていきたい。これもすぐにはできないかもしれませんが、取り組んでいくべきことです。

 
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