経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

配送業界を揺るがす地域密着型インスタント宅配サービス「Gopuff」

Gopuff Rafael Ilishayev(ラファエル・イリシャエフ)氏

記事作成=hackjpn

コンビニで買える商品を30分以内に配送

新型コロナの影響により、流通業界はイノベーションが急進展している。外出せずにほしいものを購入する際、われわれはよくAmazonやUberを利用する。

消費財のEC化が現在の生活にどれほど大きな利便性を与えているのかは明確である。しかし、例えば深夜にビールやアイス、コーラが欲しい時に、外出せずともすぐに家に届いたら、どれだけ生活が便利になるだろうか。

Gopuffは、食料品や日用品を24時間、配達料金1.95ドル(約215円)で届ける「インスタント」宅配サービスを行うアメリカの企業である。

フィラデルフィアに本社を置くスタートアップで、お菓子や市販薬、アルコールなど、基本的にはコンビニで買えるような商品を30分以内に配達するサービスを提供している。

数分で配送するための仕組みとは

Gopuffは必要な品物を比較的低コストで、実際に自ら取りに行かずに、すばやく手に入れたいと考えている人たちに向けて事業を拡大している。基本的な必需品の即時配達を、より効率的な流通と「必需品」を構成する内容の拡大によって強化することを戦略としている。

デリバリー時間30分を最低ラインとして配達サービスを行う同社は、知名度は比較的低いものの米国の650以上の都市で、料理、掃除用品、ペット用品、市販薬などあらゆるものを配達している。30分以内の配達には1.95ドル(約215円)の料金を課し、非常に遅い時間まで24時間365日対応で行う。

家庭のガレージとフランチャイズ契約をし、注文が入ったらギグワーカーがオンデマンドの商品・料理・アルコールデリバリーサービスを届ける。フード・日用品の即時配達において、顧客・配達員・商品拠点の3者間を結ぶことが必須である。

そこで、同社はインスタント配達を実現するために、顧客・ドライバー・サプライヤー・配達センターを含むエコシステムに関する技術プラットフォームを構築した。

Gopuff
日用品などの即時配送を実現する 出典:https://gopuff.com/ 

地域密着型の垂直統合モデル

Gopuffは商品を購入した顧客に簡単に商品を提供するために、地域に密着してオンライン注文やハイパーローカル配送に特化して設計された「ダーク」ストアを設置したり、出来合いの食品を作って配送する「Gopuffキッチン」も始めている。

Gopuffキッチンでは、淹れたてのアイスコーヒー、手作りホットピザ、アイスなど、新鮮な料理が溶けたり冷えたりする前に配達する。

2021年ニューヨークに進出したGopuffは、オーガニック商品やヘルシーフードなどを午前4時に届けてほしいというニューヨーク住民たちの期待に応えている。ベビー用品のカテゴリーを2倍に増加させ、ローカル商品の追加も頻繁に行う。

また、自社の物流センターと外部のドライバーネットワークを組み合わせて商品を配達する垂統合モデルを採用した。さらにナショナルブランドとローカルブランドの製品をかけ合わせることで、常に新製品を導入し、売れない製品を廃止できるようにした。

配達業界を揺るがす独自の配送ネットワーク

CEOであるRafael Ilishayev(ラファエル・イリシャエフ)氏は大学在学中の2013年に同社を創業した。そこで、自分たちのような大学生が夜中にスナックを求めたい時に、すぐに配達するような衝動買いのニーズを満たすサービスの必要性があることに気付いた。

これを実現するために同氏は、メーカーから製品を直接仕入れ、Gopuffの従業員が担当するマイクロフルフィルメントセンターと、独立したドライバーのネットワークを介して消費者に製品を届けることを思いついた。

ちなみに、Gopuffは独自のマイクロフルフィルメントネットワークを運営し完全に垂直統合されており、それぞれが独自のドライバーと契約している。

また、車両の運行管理を行って「効率性強化」「コスト削減」「安全性向上」等を図るフリートマネジメントを行っている。そのために買収したのが、Uber、Google、Appleの元社員が中心となって開発した地図やライドシェアのためのプラットフォーム「rideOS」だ。Gopuffは今回の買収で規模を拡大し、インスタント・ニーズ・エコノミーの最前線に立ち続けることに挑戦する。現在もユニットエコノミクスを改善し、配送担当者やパートナーが現場でより組織的かつ効率的に活動できるような新しいツールの開発に取り組んでいる。

Gopuffのミッションと世界的な野心は、世界中で人や物を効率的に移動させるソフトウェアを開発するrideOS社のビジョンの延長線上にあるといえるだろう。rideOSの買収に加え、2020年11月にアルコール小売店のBevMoも3億5000万ドル(約385億円)で買収している。

今後AmazonやUbarに取って代わるような戦略を企て、より多くの消費者ニーズに応えていこうとするGopuffの活躍に期待が膨らむ。