経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

初期投資ゼロで設備保守費用とCO2削減を追求する事業を展開―ナゴヤホカンファシリティーズ

ナゴヤホカンファシリティーズ社長 三口大登

SDGsや脱炭素社会の実現が世界中で社会的課題となっている現在、「初期投資ゼロで設備保守費用とCO2削減」を掲げて各社の課題解決をサポートし、人に寄り添う未来図を描いているのが、今注目のナゴヤホカンファシリティーズである。

ナゴヤホカンファシリティーズ社長 三口大登
ナゴヤホカンファシリティーズ社長 三口大登(みくち・だいと)

時代と共に事業は多岐に 社名を変更し現体制へ

 1960年の創業時、ナゴヤ保缶化学工業社の「保」は維持管理を、「缶」はボイラーを表し、そこに機械洗浄の際に用いる化学薬品の「化学」を加えた社名であった。

 時代が進むにつれ、ボイラーだけでなく建築設備全般、産業用機械装置など事業範囲は広がり、メンテナンスに加えて設備工事の設計施工にも対応するようになった。省エネルギーコンサルティング、チューニングサービス、IoT/AI技術を使った、監視システム、設備診断、異常検知なども始め、社名と事業内容が乖離し出したことから、2019年にナゴヤホカンファシリティーズに社名変更した。

初期投資ゼロで保守費用とCO2を削減 利益につなげるIoT/AI

 13年に社長に就任した三口大登氏が現業のキーワードとして挙げるのが、「保守費用削減」「CO2削減」「IoT/AIの導入」「人材確保」「医療/介護への応用」だ。中でも保守費用削減とCO2削減は「設備投資ゼロ」での実現を展開している。

 一般に設備の維持管理費には保守費用とエネルギー費用がある。どちらもできるだけ払いたくない費用だ。同社は、「設備維持管理にかかる保守費用、エネルギー費用をいかに下げるか」を常に追求し、顧客にも同社にもメリットのある事業展開をしている。

 その一例が「メンテナンスサイクルPDCA」。定期的に整備や交換部品を検証し、問題がなければ実施間隔を長くする提案を行う。「毎年を2年ごと、3年に1度と、実施間隔を長くすればお客さまの保守費用は安くなる。機器のデータやIoT/AIを取り入れた予知保全で最適な設備管理を提供する」と三口社長。

 もう一つがCO2削減。日本は30 年までにCO2排出量46%減という目標を掲げている。

 私たちも季節に合わせて服装を変えその時々に順応する。機械設備も季節や負荷に合わせて運転手法を変えることで省エネルギーが図れるという。省エネルギーすなわちエネルギー費とCO2の削減だ。ただし単に使い方を変えるだけでは故障につながる恐れがある。同社の60年以上の実績に基づくチューニング技術である。

 注目すべきはそのサービスを初期投資ゼロで行うことだ。「報酬は削減結果の30%。もちろん結果が出なければ料金は頂きません」と三口社長。

 同社では、IoT/AIの技術を利用した設備監視、診断、異常検知にいち早く取り組んできた。温度や圧力といったデータだけでなく、音声・振動、画像などのデータを用いたシステムの受託開発も展開。「その先にどうつなげるかが重要。何のために導入するのか。全てをお客さまの利益につなげなければならない」と三口社長。

 例えば、安価なモーターをIoT /AIで診断しても、診断システムの方が高く付いてしまう。定期的な部品交換等で大規模修理を避ける方が賢明だ。「IoT/AIは手段であって目的ではない」とも語る。IoT/AIと機械設備の技術を持つ同社では、より効果的なコンサルティングやサービス提供を行う。こちらも一定期間、一定数のデータまでは「初期投資ゼロのお試しサービス」を提供している。

 「何かあった時に必要なのは、駆け付ける人、判断する人。計測・分析して終わりではなく、その先を見据え、IoT/AIと人とのベストミックスなサービスを提供します」と三口社長。

 しかし、人材確保は企業の経営課題の一つ。同社では、技術を持つシニアエンジニアを技術者として登用。シニアエンジニアの確立された技術と人脈を基に、中小企業では難しい設計やサービスを提供している。エネルギーベストミックス空調などだ。

 ベトナムからの実習生受け入れでは、単に現在の労働力を補うためだけでなく、取引先と協力し、現地での仕事の創出、教育機関の設立なども計画中だ。また、外国人や高卒入社の社員に専門学校や大学で学ぶ機会を提供する支援プランも進行中だという。

その先に何があるか医療/介護への応用

 「事業・取り組みの活動がバラバラではそれぞれが足の引っ張り合いになってしまいます。音楽のように全ての事業・取り組みを協調させなければなりません」と三口社長。

 その同社が次に目指すのが医療/介護への応用。「設備に採用するIoT/AI技術/システムと、医療/介護に採用する技術/システムは同じ」と言う。顧客の要望を第一に、コストを鑑みたシステムを追求している。まず現場を見て、どう対応しているか、人が何を見ているのか、顧客の要求は何かを追求し、お試しシステムで実演して見せる。そこで改善点を顧客と一緒に洗い出し、最適なシステムに育てている。

 「全てはお客さまのために」を徹底する同社の今後が楽しみだ。

会社概要
設立 1960年8月
資本金 2,000万円
売上高 5億5,000万円
所在地 愛知県名古屋市北区
従業員数 20人
事業内容 建築設備、産業用機械装置設計施工、保守管理、省エネルギー、IT/AIコンサルティングほか
https://www.facilitysec.jp/

【AD】