経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

ファン・サポーターとの結び付きを深め地域に貢献するチームへ―名古屋グランパスエイト

名古屋グランパスエイト専務取締役・清水克洋


1993年のJリーグ開幕当初に発足した「オリジナル10」に名を連ねる名古屋グランパス。天皇杯で2回、リーグ戦で1回、計3つのタイトルに輝いた実績を持つ。成績が振るわない時期も経験したが、ファン・サポーターの分厚い応援に支えられている。

名古屋グランパスエイト専務取締役・清水克洋
名古屋グランパスエイト専務取締役 清水克洋(しみず・かつひろ)



 名古屋城のシンボル「鯱(シャチ)」を意味するグランパスと、名古屋の市章でもある「八」を組み合わせたサッカーチーム・名古屋グランパスエイト。Jリーグ有数の熱狂的なファン・サポーターを抱える古株のチームだ。

 「30年の歴史の中で、大きな節目になったのは、現在のパロマ瑞穂スタジアムに加えて豊田スタジアムがホームスタジアムになったことです」と清水専務。国内でも珍しい4万人を収容できるサッカー専用スタジアムの豊田スタジアムを設立後は、ホームタウンを名古屋市、豊田市、みよし市と広げ、現在では愛知県全域に拡大した。

 しかし、2016年にはJ2降格を経験。「ファン・サポーターにもっと愛されるクラブになろうと、改めて士気を上げた変曲点でした」と振り返る。「サッカー選手としての経験を語ることで、人々の心を動かすのが使命である」との思いを新たにし、学校訪問など地域活動回数を2倍に増やした。この時期約70社だったスポンサー企業が現在は200社を超えた。またコロナ禍で実施したクラウドファンディングで5850万円もの支援を集められたのは、地道な地域活動が評価された証と言える。

 さらに、19年からは、「鯱の大祭典」という取り組みを始めた。「スタジアムだけでなく、街全体がグランパスで盛り上がってもらおうと企画しました。昨年はコロナ禍で開催できませんでしたが、今年もまたコロナ禍で地域のお祭りが中止になっている現状を鑑み、スタジアムで感染対策をしながら愛知のさまざまなお祭りを集めて、試合とともに楽しめるよう軌道修正しました」。2回目となる今年のイベントも反響は上々だという。

 「余暇の過ごし方を考える時、グランパスの試合を観に行くという選択肢が気軽に入るようにしたいです。地域と連携しながら今後もさまざまな取り組みをしていきたいですね。また、今年は4つのタイトルの可能性があります。どんな状況でも強くて面白いサッカーをし、常にタイトル争いをするチームでありたい。この思いは30年間変わっていません」 地域と歩むチームの闘志は尽きない。

会社概要
設立 1991年7月
資本金 1億5,000万円
所在地 愛知県名古屋市名東区
従業員数 60人
事業内容 プロサッカーチームの試合の開催・運営、サッカースクールおよびサッカー普及活動の企画、オリジナルグッズの制作・販売
https://nagoya-grampus.jp/