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富裕層に広がる全て「決め物」の堅実なアパート経営―アイケンジャパン

アイケンジャパン代表取締役中島厚己


福岡から全国に事業展開するアパート企画・販売のアイケンジャパン。オーナーとの信頼関係により新設した不動産売買仲介子会社も好調だ。近年は富裕層の認知も上がってきた。根源にあるのは他社がまねできない全てを「決め物」にする力だ。

アイケンジャパン代表取締役中島厚己
アイケンジャパン代表取締役 中島厚己(なかしま・あつみ)

 「堅実なアパート経営」をコンセプトに、全国でアパート・マンションの企画・販売を960棟以上手掛けてきたアイケンジャパン。2021年4月に不動産売買仲介の子会社「ATMリアルエステート」を設立し、8月から本格稼働させた。

 中島厚己代表は子会社設立の背景について、「アパートの販売先であるオーナーが全国で約700人を数えるようになり、複数の不動産を所有するオーナーから売買仲介の引き合いが増えていた」と語る。

 オーナーの反応も上々で、今後5年以内に福岡のほか広島、名古屋、東京、仙台へと拠点を増やし、売上高で2億~3億円を目指す。新規採用も積極化し、将来は「アパート販売と並ぶ、グループ事業の両輪の一方にしたい」と話す。

 設立要因にもなった引き合いの増加は、アイケンジャパンがこれまで築いてきたオーナーとの信頼関係による。その元になるのが、「決め物(ぶつ)」のみを扱う経営方針だ。

 決め物は業界用語の一つで、仲介業者がお客を付けやすい優良物件、いわゆる本命物件のこと。一般的に全体の1~2割しかないと言われる中、「われわれが企画・販売するのは全て決め物。自信を持ってオーナーに提案している」という。実際に同社のアパートの年間入居率は99%、経年の家賃下落も少なく、収益稼働率も98%を超える。

 これらの強みが、最近になって富裕層にも知られるようになった。資産設計に詳しい著名コンサルタントの目にも留まり、そこから同社の名がさらに富裕層の間に広がっている。これを受けて、中島代表は「将来的にはRC造賃貸マンションの企画販売も手掛けたい」と語る。

 同社では全てを決め物にするために、約30人いる営業担当と同じ人員の設計スタッフを自社で抱える。これは人員コストがかかるため、「売り上げ志向の会社ではまねできない」とする一方で「良い物件を企画するには絶対に必要なことだ」と言う。一見すると回り道のようだが、そこには売る側の責任感と強い思いがある。「オーナーには絶対に成功してもらいたい」と中島代表。これが、同社が提案する「堅実なアパート経営」の根本なのだ。

会社概要
設立 2006年8月
資本金 1億円
売上高 92億円
所在地 福岡県福岡市中央区
従業員数 121人
事業内容 アパート・マンションの企画販売、不動産管理、売買仲介ほか
https://aikenjapan.jp/

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