経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

バナナ由来の素材を使って頭皮の炎症防止と環境保護を実現する米国企業「Rebundle」

記事作成=hackjpn

黒人女性が髪の毛を伸ばす途中でヘアエクステンションをする際、3人に1人はそれが引き起こす頭皮の炎症に困っているという。

人工毛を作るために使用される材料の多くがプラスチックであり、人体及び環境への汚染を引き起こしている。安い価格で手に入るプラスチックエクステンションが、非生分解性材料であるため埋め立て地の拡大を助長しているのだ。

そこで、環境のより良い管理者になることを目指して、頭皮の保護をしながら持続可能でより良いヘアスタイルの選択肢を与えることを目指す米国企業が注目されている。

頭皮の炎症を防ぐ人工毛

Rebundleは、米国初となる植物ベースのヘアエクステンションを製造している。黒、ブロンド、茶色の3種類の編んだ髪を提供しており、それぞれの価格は約0.5メートルあたり20ドル。この長さは天然毛より短いものの、多くのプラスチック製の人工毛髪よりも長いものだという。

プラスチックによって大量生産されたエクステンションとは異なり、同社は「より快適で無駄が少ない」という理由から、自然に抽出されたバナナ繊維を髪を編むための代替材料として提供している。

「バナナ繊維はさまざまなものを吸収する能力があり、加熱したときの巻いた形状を保持し、400℃まで加熱できます。非常に耐久性があります」と、ブランドの最高科学責任者であるジェシカ・サンダース氏は説明する。

動物肉の脂肪、合成プラスチックポリマーのポリ塩化ビニル(PVC)、乳化剤、モノグリセリドおよび有毒染料等の成分は、頭皮に付着すると化学物質が皮膚の表面に吸収され、かゆみ、腫れ、発疹を引き起こす可能性がある。中枢神経系や生殖器系に影響を与える可能性があり、発癌物質としてリストアップされている。
Rebundleはそれらとは異なる「清潔で安全な」成分のみを使用し、現在多くの女性、実業家、スタイリスト、アーティストにインスピレーションを与えている。

Rebundle
画像:Rebundleのウェブサイトより
https://rebundle.co/

バナナで髪の美しさと健康を保護する

髪が長い場合、ヘアエクステンションには5時間半が費やされるという。出来上がり直後の外観は素晴らしいものであっても、翌朝発疹ができて首を激しく引っ掻きながら目を覚ます人も少なくない。

一方、バナナ由来の製品は生分解性であり、食品堆肥を扱うのと同じ方法で処分が可能である。バナナ繊維を芯材に使って製造し、現在さまざまな色のエクステンションを販売している。

バナナ繊維は絹のように柔らかく、ロープのように強いという特徴がある。この生分解性繊維は、実際にはバナナ自体からではなく、バナナの木の巨大な茎から抽出している。バナナの収穫後、通常であれば茎や葉は廃棄される。それらを切断し、天日で乾燥したり機械を通して引っ張ると、髪のような繊維を取り出すことができる。製品使用後は、肥料として庭に処分することもできるため、多くの企業が処分されてきたバナナの葉を求め始めている。

DTC(消費者に商品を直接販売する)企業であるRebundleは、自社ウェブサイトを通じて製品を販売している。ヘアエクステンションを使用する人は多い人で年に5回付け替えをしており、サブスクリプションとして販売する余地がある。

Rebundle
Rebundleのウエブサイトより

市場の大きさを見据えて新しい方法に挑む

もともと多様で、低価格なもの(プラスチック製)から高価なもの(人毛)まで、無数の価格帯があることをふまえると、エクステンション市場は大きく、今後注目されるビジネスと言えるだろう。ミネアポリスパブリックラジオのレポートによると、ヘアエクステンション市場は年間90億ドル以上で、黒人女性のユーザーが市場の70%を占めている。

CEOのCiara May氏は、ヘアエクステンション業界をより良い方向に変え、100億ドル相当にする主要な消費者を救いたいという思いで、環境保護主義をヘアケアに織り込むことに心を向け、スタートアップへの資金提供と支援の機会を模索した。1月17日、同社はプレシードラウンドで140万ドル(約1億6000万円)を調達した。この資金調達イベントを主導したのは、中西部を地理的に重視するベンチャーキャピタルのM25である。

生産拠点は米国内に建設し、国内製造を拡大することで、製品構成に定期サービスを導入しやすくするという。サブスクサービスを拡大すれば、2022年中に再び資金調達が成功する可能性もあるだろう。