経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

日本の間接材購買を変える!グローバル企業と闘う。小さな巨人 ジーニーラボ

ジーニーラボ 社長 米谷雅之(こめたに・まさゆき)

大手企業を中心としたユーザ企業に間接材購買システムを提供しているジーニーラボ。効率化、自動化によって、購買業務に関わる労務コストを削減する「ジーニー2.0」を開発し、今後はグローバルな展開も視野に入れているという。

ジーニーラボ 社長 米谷雅之(こめたに・まさゆき)
ジーニーラボ 社長 米谷雅之(こめたに・まさゆき)

世の中の当たり前を変える中小企業活性化で強い日本へ

日本の労働生産性は先進諸国に比べて低いと言われる。世界の経済先進国38カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の統計によれば、日本の労働生産性は欧米先進国の後塵を拝し、OECD加盟国の中で23位、いわゆる先進国の中では最下位。日本に続く国は、スロベニア、リトアニア、スペインなど東欧やラテン系諸国ばかり。GDPが世界第2位で米国を抜くかもしれないと言われた頃の輝きは見る影もない。労働者の収入も一向に増えず、この失われた30年を取り戻すためには、労働生産性の向上が欠かせない。

日本企業の99・8%、就労人口の7割を占める中小企業の生産性の向上。ジーニーラボ社長の米谷氏はここに着目する。

ジーニーラボは、大手製造業を主要顧客とする購買システム「ジーニー2・0」をクラウドサービスとして提供している。大手製造業がこの購買システムを通じて取り引きする相手方のサプライヤ企業は、ほとんどが中小零細企業だ。

こういった中小零細なサプライヤ企業が大手メーカーを支えている構図は日本に限ったことではないが、日本においては単なるビジネス上のサプライチェーンに関する責任感を超えた連帯感が存在している。同業同士においても必ずしもコンペティタとしての意識だけではなく、協力関係、世界では類を見ることのない下請けならぬ「横受け」の精神構造など高度な倫理観に支えられている。彼らの生産性をITツールにより高めて活性化することが、世の中に貢献することであり、自分たちの使命だと米谷氏は断言する。

従来のバイヤ視点に加えサプライヤ視点の機能を付加

このためには、閉鎖的になりがちな大企業との取引をもっとオープンにして、現在の購買システムを、買い手、売り手ともにメリットのある企業間取引のプラットフォームに高めたいと考えている。

ジーニーラボは、今までバイヤ(買い手)視点で、購買業務の効率化、自動化により購買業務に関わる労務コストの削減を追求して使いやすく分かりやすい購買システムをつくり、ユーザ企業から高い評価を得てきた。

だが、これからはさらにサプライヤ(売り手)視点のB2Bプラットフォーム機能を追加していこうと、金融機関や企業団体とタイアップして、意欲溢れるアイデア豊富なサプライヤ企業の経営者からの要望や要件の吸い上げに取り組み始めた。

サプライヤ向けの機能は既に開発を終えているが、実際に利用される前にサプライヤからの要望・要件を集めていく考えだ。

その一つがジーニー2・0の持つサプライヤデータバンク機能をさらに高度化し、売り手、買い手のマッチング機能を充実させ、世の中のデファクトな取引システムに昇華させるという考えだ。

そのために、サプライヤがバイヤに対してアピールしたい事項をより多くのサプライヤからヒアリングし、それをシステム機能に反映させて、最適なサプライヤ探索機能を完成させる。

また、サプライヤの営業生産性向上にスポットを当て、徹底的にサプライヤの実態調査を進める。

サプライヤの営業生産性の足を引っ張る一つの要因に見積業務がある。見積業務の効率化、自動化の研究を既に始めているが、早々にシステム機能として実装する考えだ。

さらに見積業務そのものを減らせるように、マーケットプレイスと呼ぶECモールを設けて、今までECカタログ化されていなかった商品をECで買えるようにする。それにより見積購買でバイヤ、サプライヤ共に工数が掛かっていた業務をなくそうと考えている。

サプライヤが営業活動や営業業務における無駄をなくしてDXを進めれば、価格・料金を下げても適正な利益を確保できるはず。これからのコスト削減にはサプライヤのDX武装が最重要課題だと考えている。

間接材購買分野では今まであまり目を向けられなかったサプライヤ、つまり中小零細企業にスポットライトを当てて労働生産性を高め、日本経済の復興に貢献しようと、米谷氏は強い決意を持って臨んでいる。

ジーニーラボのこういった考え方に賛同する企業も現れた。昨年から実際にジーニー製品の導入を行っている株式会社電算システム(※)だ。同社は、大学の研究機関が主催する関接材購買に関する研究会にも参加しており、大手企業を買い手企業とし、サプライヤ企業を売り手とした企業間取引のプラットフォームを構築したいと考えている。これを元にした地方創生の実証実験も構想している。サプライヤ企業はその所在地に関係なく、ロケーションフリーで全国区の大企業と取引ができることを実証しようとしているのだ。まさに日本流企業間取引のDXの実現を目指すのだ。

※電算システムの持株会社である電算システムホールディングスは、十六フィナンシャルグループと合弁事業として他業銀行業高度化等会社を今春より開始予定。

「世の中の役に立たない事業なんか事業じゃない。世の中に貢献しない会社なんか会社じゃない」をスローガンに、志高く、夢を追い続ける事業家。それがジーニーラボの米谷氏だ。 

会社概要
設立 2015年7月
資本金 8,000万円
本社 東京都港区
開発子会社 JienieLab. Asia Co., Ltd.(ベトナム・ホーチミン市)
従業員数 44人
事業内容 購買クラウドサービスの企画、開発、運用、販売
https://jienielab.co.jp