経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

業界のパイオニアとして「温故知新」を忘れず変化に対応して進化するー東海塗装

東海塗装 社長 奈良間 剛(ならま・ごう)

今年で創業150年を迎える東海塗装は、国鉄の橋梁や東京タワーなど時代のシンボルを手掛けてきた伝統企業だ。6代目の奈良間剛社長はサステナビリティ経営を念頭に社内改革を推進。塗装業界をリードする同社の先進的な取り組みとは。

東海塗装 社長 奈良間 剛(ならま・ごう)
東海塗装 社長 奈良間 剛(ならま・ごう)

東海塗装は常に新しいものを取り入れてきた。原子炉内の水中工法「アンダーウォーター」や重要文化財の勝鬨橋の塗装工事など、難易度の高い工事も請け負って評価されている。

「現在はコンクリート剥落対策工事に力を入れているほか、大規模改修事業、足場・吊り場設置工事などを拡大。従来の基幹事業であった橋梁元請工事、プラント関連の工事を含む6つの事業を展開し、総合メンテナンス会社を目指しています」と奈良間社長は語る。

また、それぞれの事業で独立採算制を実施しているのも特徴だ。

「部署ごとに責任と権限を一体として、一人一人が経営者意識を持てるようにしました。ISOのQMSを活用し360度評価を取り入れ、基本行動、業務行動、管理行動の基準で目標を持たせ、社長が年1回は一人一人面談して問題点を確認して改善につなげるようにしています」

この10年で社員の半数を採用したが、売り上げ・利益ともに好調だ。

「これまでの年功序列や終身雇用を脱却し、若い人でも結果次第で部署を任される仕組みにした。業界では珍しい女性の採用も積極的に行っている。もちろん反発はあったが、時代遅れな先入観にとらわれず改善してきました。また、部署の垣根を超えて、希望する現場があれば、全国どこでも、やる気次第で就けるようにしており、社員のモチベーションを大事にしています」

信念は「会社は人財」だ。

「一人でできる改革や人の活用には限界がありますが、難しい課題も経営者意識を持つ人材を育成することで解決できると信じています。東海は人がすごいと言われたい」

奈良間社長は日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会でDXプロジェクトを推進し、全国の若手経営者との情報交換にも取り組んでいる。

「業界の発展のために、デジタル技術を取り入れ、次世代に合った技術的な発信ができるようにしたい」

同社は時代ごとに求められるニーズを読み取り、常に新たな挑戦を続けて進化している。

「塗装から始まった当社ですが、多角的な事業を展開し、先入観にとらわれず柔軟に対応できる人財を育て、進化・発展していきます」 

会社概要
創業 1872年
資本金 5,045万円
売上高 32億円
本社 東京都大田区
従業員数 97人
事業内容 各種構造物、橋梁、プラント、建築物、機械等の塗装工事・設計施工管理、水中工法、低公害研掃材「スタウロライト」の販売および同品による研掃、コンクリート剥落対策、マンション等リニューアル大規模修繕、足場・吊足場仮設工事ほか
https://www.tkip.jp/