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エッジAI開発ベンチャー。エッジコンピューティングでものづくり日本を再起動ーティーツー・ラボラトリ

ティーツー・ラボラトリ 代表取締役 丹場展雄(たんば・のぶお)

IoTやAI活用に必要なコンピューターボードなどを設計・開発し、企業に技術提供するティーツー・ラボラトリ。大手IT・総合電機メーカーから独立したメンバーにより2020年に設立された。「AIをもっと身近に」をモットーに、ドローンやロボット、自動運転などのIoTにAIを活用。日本のものづくりの再起を願う。

ティーツー・ラボラトリ 代表取締役 丹場展雄(たんば・のぶお)
ティーツー・ラボラトリ 代表取締役 丹場展雄(たんば・のぶお)

IoTの世界では、通信環境が不完全な状況下でもコンピューターによる演算処理が行われる必要がある。例えば自動運転中の自動車がトンネルに入り、通信が途絶えて制御不能になってしまっては困る。そこでエッジ(端末)コンピューターを用い、末端側である程度の演算処理を自立・分散して行えるようにする。

ティーツー・ラボラトリの丹場代表は名刺より一回り小さなデモ機を前に、目を輝かせて語る。

「部品は購入し、搭載している電子回路の設計とAIの実装は当社で行いました。AIによる画像判別や顔認証などの演算処理が小型コンピューター上で行えます。カメラをつなげば自動車や人などの物体検出を可能にし、Wi‒FiでつなげばPCやサーバーにデータを送れます」

デモ機に必要なのはわずか1ワットの低消費電力。小型・軽量化を重視して設計しており、ドローンやエアー・モビリティーなどへの展開も期待できる。モビリティーの自動運転ではさらにカメラやミリ波レーダー、超音波・加速度・GPSなどのセンサー類、ステアリング、ブレーキなどのモノ同士と中央制御装置、インターネットをつなぐ。全体を機能させる設計力やセキュリティ対策など高度な技術力が求められる。

これらを可能にするコンピューターボードの設計の受託を目指し、大学と協力しながら開発を進めていく方針だ。

「米中がこの分野に力を入れている一方、日本は後れを取っています。日本企業にもAIやIoTを身近に使ってもらえるよう提案したい。その想いから私たちは創業しました」

「日本のものづくりを再起動させたい」と夢を抱き、その輪を広げるべく立ち上がった。

「私たちはLSI(半導体大規模集積回路)やコンピューターボードの設計・開発に10年以上携わってきたエンジニアです。日本のものづくりには閉塞感が漂っており、潮目が変わったのが2015年頃のAI。世の中に新しいムーブメントが起きそうな予感がしました。日本のものづくりはもう一度チャレンジできるチャンスがある。今後は若い人たちにもっと関心を持ってもらえるよう、希望ある業界にしていきます」 

会社概要
設立 2020年4月
資本金 900万円
本社 東京都立川市
事業内容 コンピューターのハードウエア、ソフトウエア研究開発、設計、製作およびコンサルティング など
https://t2-laboratory.com/