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IH(電磁誘導)リフロー技術で可能性を実装する未来へーワンダーフューチャーコーポレーション

ワンダーフューチャーコーポレーション 社長 福田光樹(ふくだ・こうき)

IHリフローという技術を用いて、従来難しかった低耐熱材料である紙や布、ガラス、セラミックへの「はんだ付け」を可能にしたワンダーフューチャーコーポレーション。IHリフロー装置の開発や受託生産を開始し、自動車など各業界から注目を集めている。

ワンダーフューチャーコーポレーション 社長 福田光樹(ふくだ・こうき)
ワンダーフューチャーコーポレーション 社長 福田光樹(ふくだ・こうき)

ワンダーフューチャーコーポレーションは自社開発による新技術のIHリフローを通じて、これまで不可能とされてきた素材への「はんだ付け」を可能にしている。温度をコントロールした上で加熱を非接触で瞬時に行い、基材へのダメージを最小限に留めることができるからだ。

「原理は家庭にあるIHクッキング機器と同じです。ダメージレスな実装を可能にし、デザイン性を損ないません。従来と比べて生産性が劇的に向上し、消費電力を100分の1程度に抑えられるのでSDGsの推進にも貢献します」と福田社長は話す。

日立ハイテクで半導体事業に従事した後、49歳で会社を創業した福田社長。現在は積極的な業務資本提携を進めており、2021年10月には豊田合成から出資を受け、車のフロントグリルやコックピット、ハンドルなどに安全運転支援システムやデジタルサイネージを付加するための共同開発を開始。特にIHリフローの利点を生かしたFDS(フレキシブル・デジタルサイネージ)は、世界最薄・最軽量級で自由に折り曲げできるため、幅広い分野への活用が期待される。

「例えば自動運転車の普及に伴い、車外に自動運転中であることを知らせるディスプレーの装着が義務化されると、FDSの市場は一気に広がります。大手企業とコラボレーションすることで、IHリフローの技術を効率的に広めていきたいと考えています」

さらに、印刷インキ大手のサカタインクスや、 ベンチャーキャピタルのリアルテックファンドから出資を受け、安定した財政基盤を元にチャレンジできる体制を整えている。

「サカタインクスや関連会社であるEMSのシークスとの3社コラボでは、IHリフロー技術を使った受託生産サービス『IH‒EMS』により顧客のIH初期投資コストを最小限にします。〈不可能を可能にする技術〉を活用しやすい環境を整えて、社会に貢献していきたいですね」

福田社長はこうした思いを込めて、名刺に奇跡の花と呼ばれるブルーローズを描いている。今後も不可能とされていた青いバラのような革新的な技術を世に送り出す構えだ。 

会社概要
設立 2013年4月
資本金 2,000万円
売上高 1億円
本社 東京都千代田区
従業員数 15人
事業内容 IHリフロー装置開発・販売、技術サポート、および受託生産、IH-EMS™生産受託 IHリフロー装置を活用したものづくり、3D樹脂製タッチパネルの開発および開発支援
https://wonderf-c.com/