経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

人材教育 ~子育てから学ぶ、相手に伝わる叱り方~

子育てに学ぶ人材育成

人材教育① 叱り方のポイント~男は本気度、女は味方意識~

 近年、子どもの叱り方に悩む親が増えました。「どのように叱ってよいか分からない」「叱り過ぎている自分が嫌だ」といった相談を私自身もよく受けます。最近は「誉めて育てる」といった、叱らないテーマの教育本も多く出ていますが、「叱ることはよくないこと」なのでしょうか。私は、叱るという行為は、教育であると同時に、相手と心を通わせるコミュニケーションだととらえています。

 残念なことに昨今では、叱ることができない上司も増えているようです。上司が部下を叱る際に気を付けるべきポイントは、私が子育て教室で教えている「伝わる叱り方」が適用できる好例ですので、ここでご紹介しましょう。

 男のお子さんを持つ相談者のこんな話があります。

 「4才の息子は、母親が何度注意しても全くきかなくて。でも私(父親)がビシッと叱ると、一言で解決するのは、男同士だからかな」

 この効果は、実は叱った相手が「男だから」ではありません。男の子を叱る際に注意すべきことのひとつに「手短に、真剣に伝える」ことが挙げられます。

 言うことをきかないからと、母親が一方的にエスカレートしている光景を目にしたことはありませんか。感情的になり、女性はくどくどと叱ってしまいがちですが、男の子は、同時にいくつものことをすることが苦手です。長い時間をかけて言葉を投げ掛けても、その内容が入ってきません。ですから、威厳を持って、短い言葉で強く叱った父親の叱り方が子どもに響いたのです。

 また、男の子は悲しい・悔しいなど、負の感情を整理できない傾向があり、すぐに爆発してしまいがち。そんな時は「悲しかったね」「悔しかったね」と相手の気持ちを代弁してあげることが大切です。叱る前に、爆発しそうな子どもの気持ちを慮ると、子どもも許容する余裕ができ、その後の言葉が伝わりやすくなります。また、ご存じのように、人前で叱って恥をかかせてしまうのも避けてください。

 これらのことは、男性社員を叱る際にも取り入れることができます。ポイントは次の3点です。

・一度相手の感情を受け止め、代弁する

・要点を絞って短く、はっきりした口調で伝える

・プライドを傷つけないよう人前では叱らない

 

 では、女の子の場合はどうでしょうか。女の子は3歳も過ぎると立派に言い返すことができるようになります。そのせいでついきつく叱ってしまいがちですが、「語り掛けるように」叱ることが最も大切です。

 女の子は言語理解が早いので、両親の言い合いや親と近隣の人間関係など、広く察知してきちんと感じ取れます。幼い子どもだからといって「言うことをききなさい!」といった姿勢ではなく、「この子は分かっている」という前提で話してあげることが大切です。さらに、共感を示すと叱られることを素直に受け止められるようになります。

 私が開いている子育て学講座の訪問先で、「5歳の娘は言うこともきかないし、決まって言い返してくる」と保護者から相談を受けました。その親子の様子を見ていると、ジュースをこぼした娘に「どうしてこぼしたの」「何でいつもできないの」と母親が怒っています。女の子の場合、このように問い詰めてしまうとどんどん弁がたつようになっていきます。また、「失敗した自分が悔しい」と泣くのも圧倒的に女の子です。

 できなかったことの追求や人との比較よりも「ほんとはこうしたかったんだよね」と共感してあげることで、「うん、やってみる!」と自発的に行動するようになります。

 どのように叱るとよいのか、ポイントは次の3点です。

・分かっている前提で、対話するように伝える

・感情的にならずに落ち着いて話す

・「共感」で相手の聞く体勢をつくる

 

人材教育② 叱り方を通じて、人育てを「実感」する

 また、相手を叱ると同時に認めていることを伝えるマインドセットも大切です。前述した叱るポイントにも、「相手を認める・受け入れる」要素が入っていますね。

 こうした男女の叱り方の違いは、子育てセミナーでも好評です。そして、セミナーで学んだ叱り方によって子どもの変化を感じたご両親が「子育ては人育てだね」と初めて実感するのです。ですから皆さんにも、ここでお話したことをぜひ実践し、人育てを「実感」してほしい、というのが私の思いです。

 

「叱る」は心を通わせる最上のコミュニケーション

 

 

子育てに学ぶ人材育成 記事一覧はこちら

 
経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan
 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界ウェブトップへ戻る