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政権交代で復活する新興国

WORLD INSIGHT

新興国の中核になったトルコ

 政治という点で、最も注目されるのがトルコだ。イスタンブールは、20年夏季オリンピック招致を東京と争ったが、活動期間中に暴動が頻発し、結果として東京に敗れたのは記憶に新しい。トルコにとって、政治、社会の安定は、特に重要だ。

 トルコは、長く帝国支配が続いたため、民主主義の育成が遅れた。1960年、71年、80年と3度にわたるクーデターが発生するなど、政治の不安定が続いた。74年には、キプロスに侵攻し、現在もトルコ系住民が多いキプロスの北半分を実効支配する。政治が不安定だと、経済開発は進まない。数度の危機を経て、00〜01年に、トルコは最大級の通貨危機に襲われた。インフレ率はピークの80年に110%に達した。年間の対ドル通貨下落率は、最大で61%(94年)になった。

 事態を変えたのが、02年に首相になった公正発展党の党首エルドアンだった。05年に、エルドアンは100万分の1のデノミを実施した。つまり、100万リラが1リラになったのだ。これが成功し、ハイパーインフレは沈静化した。その後、トルコ経済は急速に回復し、新興国の中核となった。

 トルコの最大の強みは、地理的な条件だ。トルコは、欧州、アジア、中東、ロシア、アフリカの要に位置する。このため、トヨタ自動車、ダイキン工業、ホンダなど、日本を代表する企業が多く進出している。

 トルコ人は勤勉であり、対日感情はとてもいい。現地の日本企業は、異口同音にトルコ人の労働の質の高さを指摘する。これに加えて、通貨安、経済開放政策の成功によって、自動車産業が、トルコの主力産業に育ちつつある。安倍晋三首相は、トルコを訪問し、原子力発電建設の支援を表明するなど、日本との外交関係も順調だ。そして、ようやく欧州経済がユーロ危機から脱却しつつあり、トルコの輸出に好影響を与えよう。

 一時、人気が低迷したエルドアンだが、今年3月の地方選挙で、与党公正発展党が勝利し、その政治基盤は安定しつつある。株価、通貨とも、公正発展党の勝利を好感して上昇した。今年8月に大統領選挙が予定されているが、エルドアン首相の立候補が有力視されている。エルドアン大統領誕生となれば、市場が大いに好感することが考えられる。

 

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