経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

科学技術をコントロールする難しさ―ハザードとリスクソース

テクノロジー潮流

急激な科学技術の進展により技術コントロールが困難に

 3Dプリンターを使って拳銃を製造するという事件が発生した。

 3Dプリンターは大量生産にこそ向いていないものの、図面情報さえあれば個人でいろいろなものが製造できるという特徴がある。これまで製品として入手しようと思えば困難であったものも、そのデータ情報で良ければ情報社会では容易に手に入るものも多い。多様な情報の流通を可能にして利便性を追求する情報社会においては、アクセスできる情報を制限することは難しい。

 もともと、急激な技術の進歩には、制度や規制の構築が間に合わなくなるものも多いが、科学技術の進展は、技術のコントロールを難しくするという本質を持つ。

 科学技術の持つ潜在力がどのような影響をもたらすかは、その技術を使用する人間が、どのように活用するかによって変わってくる。

 これまでの科学技術の安全分野では、負の影響をもたらす潜在的危険性をハザードと呼び、このハザードがもたらす危険性をリスクと認定して、その低減を図ろうとしてきた。

 しかし、この安全活動は、安全担当者の思いどおりには進んでこなかった。それは、そのシステムのハザードと呼ばれる負の影響をもたらす潜在力が、同時にそのシステムに有効な機能をもたらす力ともなっているからだ。

 そのため、そのシステムの負の影響を制限しようとすると、正の効能も制限することになってしまうのだ。

科学技術開発は、ポジティブ、ネガティブ両面をコントロールする機能を

 この問題を解決するためには、システムの安全追求だけを対象として対応しようとする手法に限界があることを認識する必要がある。

 最新のリスクマネジメントでは、リスクの影響はポジティブ、ネガティブの双方の影響があるとしており、その影響の最適化を図るものとなっている。

 その概念の変化は、リスクをもたらす要因を、ネガティブな原因だけを想起させるハザードではなく、ポジティブな影響も生成する可能性を持つため、リスクソースと呼ぶようになったことからも分かる。

 科学技術の開発研究は、成果をもたらす機能とネガティブな影響を制御する機能を合わせて検討する必要がある。

 さらには、手に入れた力を何に使うか、どのように使うかというコントロール技術を身に付けなくてはならない。

 
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