経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「ライフスタイルの変革を促し 成熟都市の未来モデルを示す」--猪瀬直樹(東京都知事)

猪瀬直樹氏

―― 中枢を機能させることをほかの戦いにも生かすべきだとのことですが。

猪瀬 縦割りは会社組織でも皆、結構悩んでいると思います。どの会社でも営業部門、管理部門や製造部門などいろいろな部署があります。それらを役員会で統合する際に、役員も自分の出身組織に引っ張られることがあります。ですから、日本の会社は統合意思をまとめた大きな決断がなかなかできません。ソフトバンクの孫正義氏やユニクロの柳井正氏のようなオーナー社長は簡単に意思決定ができます。しかしオーナーから何代も経たサラリーマン社長がいる会社がほとんどですから、意思決定をいかに行うかというリーダーシップは非常に重要です。

 とはいえ、縦割りのものをすぐに何かやれと言っても、簡単ではありません。例えば、都庁の組織でも、縦割り組織がたくさんあります。ですから各局から優秀な人材を集めて、プロジェクトチームをつくっています。地下鉄一元化や電力の問題にしろ、プロジェクトチームで進めています。今度は時間市場の開拓というプロジェクトチームをつくっています。時間市場の開拓は、バスを24時間動かすことだけでなく、東京都の美術館なら20時までとか、テニスコートなら23時までとか、営業時間を延ばして、人々の新たなライフスタイルに対応させるものです。

 こういうプロジェクトは横にプロジェクトチームをつくることが重要です。縦の組織に対して、どうやって横串を刺すかが重要な組織運営の在り方です。

オリンピックは2回目、3回目を行う時代に

―― アジアでは初めて、2回目の夏季オリンピックを開催することになりますが、その歴史的意義をいかがお考えですか。

猪瀬 まず、オリンピックの象徴は五大陸の輪です。五大陸を順番に回って開催していきます。オリンピックは当然のことながら、ある程度インフラが揃っていて、経済力がないと開催できません。ロンドンの次のリオデジャネイロについて言うと、南米は今まで一度も開催していませんでしたが、BRICsの1つであるブラジルが経済成長し、南米でも開催できる都市が出てきたということです。

 北京やソウルでも開催しましたが、だいたい世界の主要都市を一回りしてしまいます。これからは2回目、3回目の都市で開催する時代に入ってきます。パリは2024年に立候補するとかしないとか言っていますが、実現すれば3回目になります。ロンドンは去年が3回目です。初めての都市で時々開催しながら、2回目、3回目の都市にも回ってくる。東京は50年前ですから、そろそろ2回目をやってもおかしくないわけです。北京もソウルもいずれは2回目の開催が来るかもしれません。そういう時代に入ったということだと思います。

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