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銀行のハネ資金で資金繰りを回す方法

銀行交渉術の裏ワザ

 今回のテーマは「ハネ資金」。中小企業の多くは、このハネ資金で資金繰りを回しています。といっても、ハネ資金は銀行用語なので、聞き慣れない方も多くおられるはずです。そこで、まずは、この用語の解説から話を始めます。

ハネ資金の意味と意義

 銀行の融資は、「返済の裏付け」によって2タイプに分かれます。ひとつは、返済の裏付けが、「後日の確実な入金予定による」もの。もうひとつは、「後日の利益で稼ぐ現金による」ものです。

 このうち、「後日の確実な入金予定」がある融資とは、「つなぎ資金」融資や「季節資金」融資のことです。

 例えば、建設業やシステム開発業では、材料費や人件費、外注費の支払い負担が先にあり、建物やシステムが完成した後に入金があります。

 つなぎ資金とは、こうした特定期間の資金不足を補うための資金です。また、季節資金もこれと同様です。アパレル製造業などでは、製品を作り、在庫としてためていく時期と、販売による入金がある時期がはっきりと分かれています。

 その季節的な資金不足を補う資金が季節資金と呼ばれます。これらの返済は、入金時期を見越しての一括返済、もしくは2〜3回に分けての分割返済が基本。ゆえに「確実な入金予定」があると見なされます。

 一方、「後日の利益で稼ぐ現金」を返済に当てる資金には、長期(1年を超える返済期間)で借りる運転資金や設備資金があります。

 例えば、長期運転資金で3千万円の融資を受け、5年間の月分割(計60回払い)で返済していくとしましょう。この場合、毎月50万円・年間600万円を返済するための現金を事業収益から毎年生み出し続けなければなりません。とはいえ実際には、事業で得られる現金では返済額がまかなえず、結果、返済負担で事業の運転資金が枯渇してしまうケースもあるはずです。

 例えば、毎月300万円、年間3600万円を返済しなければならない企業が、年間1200万円の現金しか稼げなかったとします。その1200万円から年間返済額を差し引くとマイナス2400万円となり、この会社の現金は、1年で2400万円も減り、資金不足に陥ることになります。

 そこを補うのが、「返済が進む一方で、現金が減ってしまった分を補う融資」であり、それを銀行では「ハネ資金」と呼んでいるのです。

銀行からハネ資金を得る方法

銀行の建前に配慮する

 銀行は建前上、既存の融資の返済ができなくなった企業に新たな融資を行うことはできません。ですから、ハネ資金を得たいと考えても、「返済が進むにつれ、現金がなくなってきたので融資を受けたい」と申し入れてはなりません。

 そうする代わりに、月次の資金繰り表を見せながら、「資金繰り表によれば、3カ月後の9月には資金が800万円まで減少する。なので、来月までに運転資金を3千万円借りて手元の資金を潤沢にしておきたい」といった言い方で交渉を進めるべきです。

 もちろん、銀行側は、それがハネ資金融資の申し込みであることは承知しています。しかし、そこは暗黙の了解。事情を察し、運転資金としてハネ資金融資の申し込みを受け付けてくれるはずです。

 いずれにせよ、資金不足に陥る当月になってから、あわてて銀行に融資を申し込むような事態は避けるべきです。できれば、月次資金繰り表を1年先まで作っておき、毎月末の現金預金残高を予測し、早め早めに銀行に融資を申し込むよう心掛けてください。

 銀行から見ても、資金繰り表を見せながら融資交渉を行う会社は、資金管理がしっかりとした、安心できる融資先に映ります。

ハネ資金の融資元は複数用意する

 ハネ資金の融資をしてくれる銀行は1つでも構いませんが、複数あるとさらによいでしょう。そもそもハネ資金の融資をしてくれる銀行は、長期運転資金や設備資金の融資をしてくれている銀行です。

 言うまでもなく、長期運転資金や設備資金は金額が大きくなるのが通常です。実際、事業運営では、人件費や諸経費、仕入資金といった支払いが先に出て、売掛金の回収が後になるのが一般的です。そのため、企業としては、運転資金を可能な限り多く借りて、手元の現金預金を潤沢にしておかなければなりません。

 ただし、銀行にすればひとつの企業の運転資金・設備資金の融資を一手に引き受けるのは負担であり、追加融資にも慎重になります。ですから、企業は、複数の銀行から融資を受けたほうがよいのです。ハネ資金についても同様で、複数の銀行から融資を受け、資金繰りを回すようにします。

 そして、銀行ごとに「いつ、いくらの融資を受けたか」を一覧表で管理し、次は何月に、どの銀行から融資を受けるかの計画を立てていく。そうすることで、資金繰りを滞りなく回していけるのです。

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