経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

育児と仕事で揺れるワーキングママのリアルに企業はどう向き合う?

子育てに学ぶ人材育成

ワーキングママの抱える葛藤と仕事に対する意識変化

非休職理由別就業希望者の割合 日本経済の成長戦略の基盤として、初めて働く女性の活躍に重点が置かれました。2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度に増やすといわれています。 

 一方で、就業を希望しながらも「家事・育児のため、仕事が続けられそうにない」という理由から求職活動をしていない女性の割合が圧倒的に高いというデータがあります(図表)。中でも子育て世代にあたる25〜44歳女性が最も多いことが分かります。働く母親は、業務のフォロー体制、待機児童の問題、夫の子育て参加の可否など、時間やさまざまな問題に日々追われているのです。

 とはいえ、子どもが生まれると、180度考え方が変わる女性はとても多いのです。仕事に対する意識変化もまた然り。あらためて仕事のやりがいを見いだす方も少なくありません。

 私どもが主催する「母親向け復職セミナー」では、育児休暇中の母親に向け、復職してからの生活をイメージし、両立するためのステップを事前に考えるワークを取り入れています。子育て中に起こり得る課題を整理し、産前、産後で変わる価値観も確認しながら、課題解決に向けての対応策を事前に検討していきます。

 子育てと仕事の両立は、何を手放し、何を重要視するかを突き付けられますが、親として、新しい「自分らしさ」に気付く時期でもあります。自身を成長させるチャンスととらえてワーキングママにチャレンジしてほしいと、母親たちには伝えています。

 私が見てきたワーキングママの中には、キャリアと子育てを見事に両立させてきた母親たちがいます。

 一方で、優秀な力を持ちながらも仕事を諦めた母親も多数います。子どもへの罪悪感に悩んで辞めてしまう人が多く、結果的に、エネルギーが子どもに向き過ぎて、コントロールが利かなくなっているケースもありました。

 両立を目指すか、専業主婦になるか、どちらにしても生活スタイルが大きく変わることは確実です。これらの意識変化を本人がしっかりと受け止められるかどうかが、その後に大きく影響します。

仕事と育児を両立できるワーキングママは優秀な人材の宝庫

 そして、企業側の受け入れ態勢も大きな課題です。ワーキングママたちは、子育てとの両立によって、物理的に制約された時間の中で成果を上げようとするため、時間当たりの生産性が飛躍的に伸びる可能性があります。

 マネジメントのポイントは、「職場全体が長時間労働になっていないか」、「育児との両立を支援する制度が整っているか」、「上司がワーキングママの実情を理解し、組織メンバーへの周知や仕事をフォローする関係性を作れているか」。この3点は、既にさまざまな企業でも取り組んでいますし、コンサルテーションもされています。しかし、「ケアをするだけではなく、本人の力量に対して、少しストレッチが必要なミッションを与えているか」ということは意外と忘れられがちです。

 ワーキングママの多くは、「職場に対して申し訳ないという気持ちを排除できない」と言います。しかし、謝罪の気持ちばかり持っていては対等に業務を遂行できません。報・連・相や危機管理の徹底など、上司からストレッチのある要望をすることで、有効な関係を築き、母親自身が前向きに業務に取り組んでいける風土を育むことが可能になります。

 また、社内でワーキングママが孤立しがちな場合は、ネットワークをつなげる(育休中、復帰後、特にロールモデルとなる先輩とつなげる)ことも効果的。前段で紹介した弊社主催「母親向け復職セミナー」をコンテンツとして採用いただき、ワーキングママのネットワーク化の機会にしている企業もあります。

 仕事も子育ても自分らしく働くワーキングママを増やすことが、次世代育成にもつながると感じています。

 

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