「金の卵発掘プロジェクト」とは将来の日本経済を背負って立つ人材を発掘し、日本を元気にするためのビジネスプランコンテスト。審査委員特別賞を受賞した3社が、受賞後どんな成長を遂げているのか。前回に引き続き、座談会形式で紹介する。
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おくりびとアカデミー代表取締役
木村光希(きむら・こうき)
1988年生まれ。北海道出身。2011年札幌大学経営学部卒業、同年NK北海道入社。12年Noyukに移籍、13年株式会社おくりびとアカデミー設立、代表取締役となる。同年一般社団法人日本納棺士技能協会設立、代表理事となる。
IT化を促進、海外展開も視野に
-- 木村社長は納棺士の育成という独特の世界で事業に取り組んでいますが、ITの活用についての考えは。
木村 アカデミーで行っている座学の部分をオンライン配信できるようにしたいんです。ウチで展開している社団法人に加盟している納棺士たちに対して効率的に知識の伝達ができるかなと。
川多 われわれは各地の事業者にライセンス供与して展開していきますが、その際、ネット配信を利用したり、スカイプで現場に指示を出したりできればと考えています。海外展開も考えているので、IT活用は積極的に進めていきたいですね。
石井 川多さんのところは海外進出を考えているなら、英語でサービスの特徴を説明したものを、動画サイトにアップしたほうがいいかもしれませんね。
川多 つい先日も、シンガポールや中国向けに、英語で資料を作ってほしいという要望が来ました。
石井 ある程度のレベルなら、クラウドソーシングでもできますしね。ただ、ウチも最初は外部のシステムを使っていましたが、全然やりたいことができなかったので結局は自社開発しました。

石井貴基(いしい・たかき)
1984年生まれ。北海道出身。福島大学経済学部卒業後、リクルートに入社。ソニー生命保険勤務を経て、2012年3月株式会社葵を創業し、誰でも無料で学べる中学生向けオンライン学習塾アオイゼミをリリース。
共通の地元、北海道への思い
-- 3人とも北海道出身ということですが、地元への思いみたいなものはありますか。
石井 北海道民はいい意味で楽観的な人が多く、しがらみがあまりないので、いろいろチャレンジしやすいかなと。一方で、東京と比べて情報格差があったり、ヒト、モノ、カネのリソースが少なかったりする部分はある気がします。
木村 私は2年前まで北海道にいたので、ゆくゆくは北海道で仕事したいという望みはあります。
川多 私は地元というより、やはり海外に進出したいという気持ちのほうが強いですね。北海道には開拓者精神がもともとありましたが、今はそうではなくなっている気がします。世界の中でも建築分野は日本とドイツが進んでいて、日本の中では北海道が最も進んでいます。海外に出ていき、われわれの優れた技術を世界に発信したいと思っています。

川多弘也(かわた・ひろや)
1967年生まれ。北海道出身。85年北海道電力入社。2008年に退職後、パッシブホームを含め3社の株式会社の経営に携わる。建物の光熱費を削減するパッシブ設計普及事業およびコンサルティングなどを行う。
-- 将来の1つの区切りとして2020年の東京オリンピックがありますが、その時までにどんな姿になっていたいと思いますか。
石井 ウチはベンチャーキャピタルが入っているので、IPOしているか潰れているかのどちらかでしょうね。20年ごろにはスマホで勉強するのが当たり前になっているでしょうから、問題はそこで覇権を取れているかどうか。日本の教育における経済格差をなくしたいということが起業の動機なので、そこを解消することに全力を注ぎたい。
木村 ウチは活動範囲をどこまで広げられているかということがポイントです。25年が高齢化のピークと言われているので、そこに向けてより良い人材を揃えていきたいと思います。今、海外で亡くなられる方はすごく多いので、遺体処置などのニーズが増えてくると思います。そこで、各国の学校と姉妹校提携を結び、遺体の受け入れ態勢をつくっていきます。
川多 われわれとしては、最低でも世界20カ国にはパッシブ工法を広めたいと思っています。人生一度きりですから、海外でどこまでできるか、試してみたいです。
(司会=本誌編集長・吉田浩 写真=佐藤元樹)
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