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ルネサスが再び人員削減、整理統合の先にあるものとは

作田久男氏 ルネサスエレクトロニクス会長

ルネサスエレクトロニクスが設計・開発部門の組織再編に合わせて5回目となる早期退職優遇制度を実施する。今回の組織再編は既定路線ではあるが、人員削減を加速させることになり停滞感は否めない。市場環境を考えると成長戦略を急ぐ必要がある。

ルネサス 組織再編に伴い人員削減が加速

 作田久男会長の指揮の下、構造改革を進めているルネサスエレクトロニクスだが、生産部門の整理統合は今年4月に生産部門と生産関係会社を子会社2社に統合したことで一巡した。

 今年度は設計・開発部門の整理統合に乗り出す。具体的には、ルネサスの100%子会社であるルネサスソリューションズ(RSO)、ルネサスシステムデザイン(RSD)、ルネサスエンジニアリングサービス(REG)およびルネサス本体の設計・開発にかかわる機能を8月1日付で再編する。

 この3社とルネサス本体にある、デバイス開発やデバイス応用技術などのハードウエア開発に必要な機能をRSDに集結し、開発効率を高める。また、ソフトウエア開発や事業推進機能をルネサス本体に集結。さらにREGの機能を開発・技術支援に特化させる。RSOはその機能をルネサス本体とRSDに移管させることになり、存在意義がなくなる。再編後の運営については現時点で未定だという。

 ここまでの機能集約なら、ただの組織再編と言えるが、今回ルネサスは同時に早期退職優遇制度を実施する。もともと設計・開発部門のリストラは作田体制2年目の既定路線。しかし早期退職優遇制度を同時に実施することに、ルネサスの尋常ではない状況がうかがえる。

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作田久男・ルネサスエレクトロニクス会長

 今回の早期退職者優遇制度は、募集人員は特に定めていないが、応募期間は8月7〜21日で、退職日は9月30日付を予定。通常の退職金に特別加算金を加算して支給するほか、希望者には再就職支援サービスを提供するという。

 ルネサスが早期退職優遇制度を実施するのは今年に入って2回目、通算では5回目となる。1回目は2011年3月に実施しており、1年に1回以上のペースで実施していることになる。最初の3回目までで「ルネサスを去りたいと思う層」は既に去ったと思われる。このため、今年2月に実施した4回目からは優遇制度の意味合いが変わってきている。

 4回目は、今年4月の生産部門の組織再編に伴い拠点異動が困難な社員や、組織再編に沿えないと考える社員が対象となった。今回の5回目も設計・開発部門再編に伴い影響を受ける者、具体的には、高崎への異動に応じられない者が対象となる。なお、今回の再編で機能を集約するルネサス本体、RSD、REGはいずれも高崎に拠点を有する。こうなると、異動困難者をあらかじめ想定して辞令を出す可能性を否定できない。

 今回の組織再編発表に先立ち、今年1月の労使協議では、経営陣から労働組合に設計開発拠点の再編成案が示された。それによると、玉川事業所(神奈川県川崎市)、相模原事業所(神奈川県相模原市)、北伊丹事業所(兵庫県伊丹市)の3拠点を15年9月までに閉鎖し、従業員を配置転換する予定だという。配置転換の対象となる従業員は6千人。玉川、相模原、北伊丹の3拠点の閉鎖が既定路線だとすると、この3拠点の従業員を狙い撃ちして、高崎への異動の辞令を出すこともあり得る。

 組織再編と併せた早期退職優遇制度の実態は、人員削減を加速させる格好となる。ルネサスは産業再編機構の支援を受けており、国税が投入された国策企業だ。経営再建のためとはいえ、国策企業でこのような露骨な人減らしは道義的に問題となる可能性があるだろう。

 今回の早期退職優遇制度の応募期間は8月までだが、設計3拠点の将来的な閉鎖を考えると、人員削減は今回だけでは終わりそうにない。今後もだらだらと人員削減を続けるようだと、なおのこと質が悪い。

ルネサス流構造改革の間にビジネスが一変も

 ルネサスが産業再編機構を中心に1500億円の出資を受けてから、まもなく1年になろうとしている。構造改革は計画通りに進んでいるとはいえ、いまだに組織再編に窮している印象を受ける。作田会長は「構造改革は常にやり続けるもの」というスタンスだが、今のままでは組織を縮小していくだけだろう。今後はいつ成長戦略に舵を切るのかが問題となる。

 ルネサスを取り巻く市場環境の変化からも成長戦略を急ぐ必要がある。ルネサスが拠り所としている自動車用マイコンは足の長いビジネスであり、開発から製品化、採用までのスパンが長く、さらに製品寿命も長い。それだけに現在の自動車用マイコン世界一の座は昨日今日で築き上げたものではない。しかし自動車の電子化は加速度的に進んでいる。

 実際に競合の米フリースケールセミコンダクターは自動車分野での売り上げを着実に伸ばしており、ルネサスからシェアを奪っている。さらに今後は電気自動車や燃料電池車などでパラダイムシフトが起こり、自動車用半導体市場の勢力図が一気に変わりかねない。ルネサスと言えども、うかうかしていられないのが現状だ。

 ルネサスが構造改革にめどを付け、追撃態勢を整えるころには次世代自動車ビジネスの領域では大勢が決している可能性もある。早期に成長戦略に転じるために、構造改革の進め方とめどの付け方が問われてくる。

(文=本誌/村田晋一郎)

 

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