経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

劇的なイノベーションが期待される省エネの取り組み

Energy Focus

日本における省エネの現状

 

世界のエネルギー問題解決には省エネ対策こそ王道

過去10年間の発受電電力量 これまで、このコラムでは、再生可能エネルギーや原発の話を中心に議論をしてきましたが、今後の世界のエネルギー問題への対応策を考えた場合、省エネルギー対策が王道と言えるでしょう。

 何しろエネルギーを使わなければ、エネルギー安全保障の問題も起こりませんし、電気代も掛かりません。また、CO2も増えません。

 逆の視点から見ると、今後、中国(13億人)、インド(12億人)、さらに他の新興国において、生活水準が向上していく中で、世界中の人々が、今の先進国のようなエネルギーの使い方をするようになれば、いくらシェールガスがあっても、あっという間に化石燃料は枯渇するようになり、資源をめぐる争いが起こることが懸念されます。

 もちろん、新興国の人々に、豊かな生活をするなというわけにはいきません。したがって、エネルギーをめぐる争いが生じるような事態を避けるためには、そもそもエネルギーをできる限り使わずに豊かな生活が送れるようにする必要があります。すなわち、省エネをどれだけ進められるかが大きな鍵を握るのです。

 多くの場合、省エネは、創エネに比べて、短い期間で実現できるはずです。例えば、家庭でも、太陽光発電システムを屋根に取り付けるのに比べ、蛍光灯をLEDに変えたり、クーラーを省エネのものに買い替えたりすることは、短時間でできます。

 それでは、なぜ省エネが一挙に進まないのでしょうか。それは省エネのためのコストが、節約されるエネルギーコストよりも高い場合は、家庭も企業も省エネ投資を行わないからです。

日本の産業界で進む省エネ

 日本の産業部門は、オイルショックを経て、費用対効果の高い省エネ投資はほぼやり尽くしており、日本の産業界での省エネをこれ以上進めるのは、産業競争力をそぐことになり、難しいということがいわれてきました。

 こうした認識も踏まえ、2012年に民主党政権が決定した「革新的エネルギー・環境戦略」においては、30年に電力量で10年比1割減、最終エネルギーで2割減を「極めて野心的な目標」として掲げていました。

 しかしながら、現実には、10電力会社の発受電力量の実績ベースで12年度は10年度に比べ5・5%、13年度では6・5%の節電を実現しています。20年かけて実現しようとした削減幅の6割程度は既に実現しているのです。

 もちろん、東日本震災後の日本では、原発の停止に伴い、節電の必要性が高まり、「我慢の節電」といえるものもあったと思います。

 ただ、震災から3年たち、経済活動も上向いている中で、これだけの節電がなされていることは、既に、LED化や工場の省エネ化などの構造的な省エネが進んでいることを意味しています。それらが費用対効果を無視した省エネ投資とは思えません。

 8月14日の日本経済新聞に、日本の有名企業の国内の主力工場での省エネに対する取り組みの記事がありました。日立建機は、16年度末までに10年度比で電力使用効率を3割以上改善するとしています。また、コマツは、15年度に、国内の電力使用量を10年度比で半減させる目標を掲げています。

 こうしたニュースを見る限り、日本の産業界でもさらなる省エネは可能と考えられますし、産業界以外では、まだ費用対効果の見合った省エネ投資があると考えられます。さらにいえば、LEDなどは、普及が進めば進むほど、価格が下がる傾向にあり、そうすれば、費用対効果が上がり、さらに普及が進むという好循環が期待できます。

 

日本が省エネに向けたイノベーションの発信地に

 

 そうしたことも勘案して、例えば、40年に、エネルギー消費量を半分にするという目標を立てることは無謀でしょうか。

 もちろん、この目標を実現するためには、今の延長線上の省エネ対策だけでは無理でしょう。

 ただ、40年といえば、今から25年後です。今から25年前の1990年頃を考えてみてください。その頃、インターネットや携帯電話がこれほどまでに普及すると考えていた専門家がどの程度いたでしょうか、さらにはスマートフォンなるものが世界中で使われるようになると予想していたでしょうか。

 通信分野の爆発的な変化を起こしたのは、イノベーションであり、それを支えたのは、規制が追い付けないほどのスピードであり、その結果としての自由な競争環境だったのだと思います。

 したがって、省エネについても、こうした劇的なイノベーションを目指すべきです。

 省エネは、世界的な要請なのです。省エネ機器や省エネサービスは、広く世界で広がるべきものであり、日本がそのイノベーションの発信地となることで、世界から尊敬される国にもなれるのではないでしょうか。

 

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