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新型iPhone発売にも泰然 ソフトバンクの目論み

ソフトバンクの発売イベントの模様

 米アップルの新型スマートフォン「iPhone6/6plus」が発売になった。大型化や機能向上が好評で初動は過去最高のペースだという。日本でも各キャリア間の販売競争が激しいが、これまでの実績を生かしたソフトバンクが優位に立っており、余裕さえうかがえる。

大型化と機能強化で順調な滑り出し

 米アップルのスマートフォンの新製品「iPhone6/6plus」が9月19日、日本国内で販売を開始した。

ソフトバンクの発売イベントの模様

ソフトバンクの発売イベントの模様

 新製品発表のたびに基本性能が向上しているiPhoneだが、今回の最大の特徴は、画面サイズの大型化だ。iPhone6が4・7インチ、iPhone6plusが5・5インチとなっている。

 スマートフォンは大型化が進み、タブレット端末市場を侵食している。また、大型化したスマホで中国メーカーの台頭が見られる。このため、アップルとしても大型化を看過できない状況にある。Android端末は5インチを超えるサイズが主流になりつつあるが、2007年発売の初代iPhoneから11年発売のiPhone4Sまでは3・5インチ。12年発売のiPhone5では4インチに拡大したが、それでもAndroid端末よりは小さかった。今回のiPhone6で、Android端末と同等となった。

 画面サイズはiPhoneがAndroid端末に最も劣っていた点であるため、これを解消できたことは大きい。実際にiPhone6/6plusの初動は過去最高のペースで推移しているという。

 また、性能面に関しては、カメラ機能の向上がある。センサの強化に加え、iPhone6plusでは光学式手ブレ補正技術を採用している。

 スマホの手ブレ補正処理はソフトウエアで処理する電子式が一般的で、光学式はシャープ製品など一部の採用にとどまる。なおiPhone6には電子式手ブレ補正機能を搭載している。

 光学式手ブレ補正機能はデジタルカメラがスマホのカメラ機能に対してまだアドバンテージを保っている領域なだけに、今回、iPhone6plusに光学式手ブレ補正機能が導入された意義は大きい。iPhoneの影響力を考えると、光学式手ブレ補正が今後のスマホのスタンダードとなり、コンパクトデジタルカメラが駆逐される可能性がある。

発売日に孫社長が不在も余裕の構えのソフトバンク

 滑り出しが順調なiPhone6だが、発売日は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの各キャリアが旗艦店で発売イベントを行った。

 NTTドコモは加藤薫社長、KDDIは田中孝司社長が出席する中、ソフトバンクは昨年に引き続き孫正義社長が不在。宮内謙副社長が事前の会見やイベントに登場した。孫社長は、昨年は発売当日に米スプリントの会議に出席のため渡米中だったが、今年も出資する中国アリババがニューヨークでの上場を控え渡米中だった。社長が先頭に立った2社と比べると、宮内副社長が代役を務めたソフトバンクにとってiPhoneは「軌道に乗ったビジネス」という印象を受け、余裕すら感じられた。

 iPhone6の販売をめぐって、各キャリアは旧機種の下取りキャンペーンを展開。最初に動いたのが、iPhone販売では最後発のNTTドコモで、9月14日に最大4万3200円で他社の旧型iPhoneを下取りすると発表した。ドコモとしては、6年前からiPhoneを手掛けているソフトバンクの顧客をターゲットにした乗り換えプログラムだった。

 これに受けて立つ形で、ソフトバンクは16日に下取りキャンペーンを発表。ソフトバンクとしては、ドコモが自社の顧客を取りに来ている以上は「われわれも徹底的にやる」(宮内副社長)と対抗する姿勢を見せた。なお、KDDIも17日に同様のキャンペーンを発表している。

 その一方で、ソフトバンクは17日に新料金プラン「アメリカ放題」を発表。ソフトバンクのiPhone6/6plusユーザーに対して、一部地域を除く米国でも日本の料金プランで通話・データ通信が可能になるというもの。スプリントを傘下に置き、そのネットワークを利用できる強みを生かしたサービスとなる。スプリントのネットワークの利用に際しては、ソフトバンクがスプリントに使用料を払う形となり、ソフトバンク側の持ち出しとなるが、米国リソースの活用という他の2社ができないサービスを提供することで、グローバルメーカーとして「別次元」へ踏み込んだことをアピールした格好だ。

 事前にさまざまな動きはあったが、蓋を開けてみると初動の1週間を見る限り、iPhone6/6plusの販売台数シェアはソフトバンクが4割以上を占めトップ、KDDIが続き、ドコモが3番手となった。各社のキャンペーンにそれほど大差はない状況で、ソフトバンクが首位を堅持したことは、結局はこれまでの販売サービスなどの実績が評価されたと言える。

 逆にドコモはiPhone6発売を機にシェア拡大を目指したが、空回りしてシェアを落とした格好。ネットワークリソースに強みを持つはずのドコモがこの状況では、ソフトバンクが悠然と構える状況はしばらく変わらないのではないだろうか。

 今回のiPhone6発売では、ソフトバンクが日本市場では強者として、米国では挑戦者として展開していく地盤がまた1つ固まった印象を受ける。

(文=本誌/村田晋一郎)

 
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