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安倍政権と経済界の蜜月いつまで? 献金関与再開でご機嫌とりも、波乱要因多く

ニュースレポート

9月上旬に安倍晋三改造内閣が発足して約1カ月。政権と経済界は一見、良好な関係が続いている。経済財政諮問会議の民間議員に指名された榊原定征・経団連会長は政権との関係維持に懸命だ。だが、蜜月はいつまで続くのか。

安倍政権と二人三脚を目指す経済界

 9月9日朝、経団連の榊原定征会長は自民党本部に谷垣禎一幹事長を訪ねた。3日の内閣改造を機に新幹事長に就任した谷垣氏へお祝いを言上するためだ。手土産は、前日に記者発表したばかりの「政治献金再開」だった。

榊原定征

安倍政権との蜜月を強調したい経団連だが……(写真は榊原定征・経団連会長)

 献金関与の再開は「安倍政権と二人三脚で日本経済再生を目指す」という榊原会長の意向に沿ったものだ。だが、経済界の実相は会長の目標にまだ追い付いていない。

 経団連は献金再開の理由について「献金は議会制民主主義の健全な発展のために必要なコストで、社会貢献の一環として企業もその責任を果たしていかねばならない」としている。

 もちろん自民党側は大歓迎だ。経団連が献金への関与を中止した2009年以前の自民党への献金総額は約50億円だったため、党内では来春の統一地方選を前に「最低でも50億円、景気回復で倍額の100億円もありだ」と胸算用する声が出ている。

 だが、企業はアベノミクスによる円安株高の恩恵を受けているところばかりではない。中小企業の大半は赤字で法人税すら納めておらず「献金する余裕がどこにある」(中小食品メーカー)と冷ややかな見方が少なくない。経団連に加盟していない大企業も多く、献金再開がどの程度実効をあげるのか疑問視する向きもある。

女性活用、対中関係で安倍政権と経済界にズレ

 安倍内閣が経済成長の切り札と注力している女性活用も道半ばだ。

 9月3日に発足した第2次安倍改造内閣の女性閣僚は「隗より始めよ」(安倍首相)と、過去最多と並ぶ5人。目玉とも言えるのが40歳の小渕優子氏を経産相に抜擢することだった。 小渕経産相は就任早々の9日、東京都内で経団連との懇談会に出席し「女性の活躍推進はわが国の経済活性化に不可欠だ」と強調した上で、居並ぶ大企業トップらを前に「そちら側に女性がいないことを、ちょっと残念に思う」と皮肉った。

 9月18日にも省内で起業家として活躍する女性たちを招き、経済界で女性がより活躍するための支援策をテーマに意見交換会を開いている。

 こうした経産相の熱意をよそに、日本企業では女性の登用が進んでいない。榊原会長は「できるだけ早い時期に経団連の懇談会に女性が並ぶようにしたい」と話したが、金融業界などにようやく女性役員の萌芽が見られるものの、重厚長大型産業の歩みはのろい。

 安倍政権は「20年までに指導的立場の女性を30%に増やす」という目標を掲げ、新法を制定して企業に女性登用の目標策定や開示を求める方針だが、榊原会長は「実態にそぐわない」と義務化に反発しており、今後の成り行きによっては波乱を呼びそうだ。

 尖閣諸島問題を機に冷え込んでいる中国との関係改善も成果が出ていない。有力経済人で構成する日中経済協会(会長=張富士夫・トヨタ自動車名誉会長)は9月22日、北京に榊原氏ら総勢200人を越す訪中団を送り、中国要人との意見交換を目指した。安倍首相は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の場で日中首脳会談を実現したい考えで、訪中団がその地ならしを担う手はずだった。

 日本側は訪中団派遣が今年で40回目の節目にあたることから、中国最高指導者の習近平国家主席か、ナンバー2の李克強首相との会談を要望していたが、張氏や榊原氏が面談できたのは、共産党政治局常務委員に入っていない汪洋副首相だった。

 09年9月に日中経協の訪中団が温家宝首相(当時)と会談して以来約5年、日本の経済人は中国の指導者と会談できない状態が続いている。

 訪中団は北京市内で国際貿易促進委員会や国家発展改革委員会、商務省と会談。中国の企業家とも交流会を開催して意見交換したが、いずれも貿易・投資の落ち込みを憂慮する声だけで、落ち込みをカバーする抜本策は出てこなかった。訪中団員のひとりは「トップダウンの国だから、指導部がGOサインを出せばがらりとムードが変わるのだが」と歯がゆさを隠さない。

政権と対峙することはできるのか

 榊原氏は9月中旬、安倍首相が座長を務め、経済財政政策の司令塔役を担う政府の経済財政諮問会議の民間議員に指名された。アベノミクスを「無鉄砲」と批判した前会長の米倉弘昌氏には声も掛からなかったポストだ。日本を代表する企業集団・経団連のトップとしては張り切らざるを得ないだろう。

 しかし、9月下旬の為替市場では米国金利の上昇予測やスコットランド独立の国民投票否決では急激な円安が進んだ。

 「為替は安定が大事。購買力平価で言えば1ドル=105円程度が望ましい」としている榊原経団連にとっては警戒すべき水準だ。夏場の天候不順で消費の回復ももたついている。

 諮問会議では年末に向け、消費税率10%への引き上げや法人税の引き下げ幅の議論が待っている。企業の盛衰に直結する政策では、ときに政権と対峙する姿勢が求められる。

 榊原氏もいつまでも政権のイエスマンではいられまい。

(文=ジャーナリスト/梨元勇俊)

 
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