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製造業の事業再編が相次ぐ

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2014年はさまざまな業界で再編が進んだ。中でも電機業界では企業が業績回復を図る中で、成長戦略のコア事業から外れた事業の切り離しを進めた。切り離された事業は小さな独立した会社として再スタートを切ることになったが、事業環境が厳しい中で、それぞれに成長の糸口を探っている。

企業の構造改革に伴い非コア事業が独立

 今年は日本の電機業界で、業績を回復させたメーカーと回復に遅れが生じているメーカーとの対比が際立った1年となった。

 日本の電機メーカーが苦境の中で活路を見いだそうとしているのが、一般消費者向けのBtoCのビジネスモデルから、企業・法人向けのBtoBのビジネスモデルへのシフトだ。一般消費者向け製品は、韓国・台湾メーカーとの価格競争に陥りやすく、また市場の変動性が高い領域での戦いとなるため、高い収益を維持するのが困難となっている。このため、例えば、パナソニックは成長戦略の柱にBtoBを掲げ、自動車や住宅関連ビジネスを拡大している。シャープについても、特に中国の携帯電話機メーカーへの中小型液晶の外販が営業利益の大半を叩き出しており、BtoBが業績回復を支えている。

古関義幸・ビッグローブ社長

古関義幸・ビッグローブ社長

 一方で、事業の選択と集中を進める中で、BtoC事業は非コア事業として、整理・売却の対象となる。2014年はそうして切り離された事業が目立った。2月にはNECがインターネットサービスプロバイダー(ISP)事業を、ソニーがパソコン事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに譲渡。NECのISP事業は4月に新会社ビッグローブとして、ソニーのパソコン事業は7月に新会社VAIOとして新たなスタートを切った。

 これらの新会社はBtoCを主戦場として戦うことになるため、事業環境は厳しい。しかし、その船出に際して、再編の大きな波の中でも希望を示そうとする経営トップのアニマルスピリットが感じられた。

小規模の組織として機動力や柔軟性に活路

 ビッグローブについては、もともと事業自体は赤字ではなく、従業員1人当たりの生産性もNECグループの中で高かった。NECがBtoBへ事業の主力を移していく中で、グループ全体の中での成長戦略が描けないと判断されたための独立だった。

 社長はNECビッグローブ時代から同事業を率いてきた古関義幸氏が務める。古関氏はむしろ今回の独立をチャンスととらえており、近い将来の上場も視野に入れている。

 「現状で十分利益も出ており、上場レベルにある。上場という形でイグジットできればと思う。3〜5年後の上場を目指す」

 ただし、事業環境について、ブロードバンド利用者数は大手携帯キャリアの関連会社であり、その牙城を崩すのは容易ではない。同じ勝負はできないため、古関社長は、独立系ISPとしての身軽さを生かす構えだ。

「小さなメーカーだからこそ固定観念に左右されない」と語る関取高行VAIO社長

「小さなメーカーだからこそ固定観念に左右されない」と語る関取高行VAIO社長

 一方、VAIOは、ビッグローブと異なり、ソニーにとってはVAIO事業が赤字事業となっていた。VAIOの独立はソニー全体の戦略の方向性の問題ではなく、赤字事業の切り離しという側面が強い。PC自体が成熟化しつつある上、タブレットやスマートフォンに押され、需要が減っている状況だ。新生VAIOのスタートはまさに嵐の中の船出だった。

 社長にはソニー時代に経営企画でVAIOにかかわっていた関取高行氏が就任。関取社長は7月の設立会見で、VAIOがいかに戦っていくかについて、まずPCの本質を究める姿勢を示した。市場が成熟しても、PCが必要な領域は残る。その領域に着実にアプローチしていく。

 また、ソニー時代には1千人を超える大所帯だったが、VAIOは240名でスタートする。「小さなメーカーだからこそ、しがらみや思い込み、固定観念に左右されない」と関取社長は語る。その1つが安曇野での設計・製造一体のモノづくりだ。

 新会社のスタート時は既存製品のマイナーチェンジでスタートしたが、現在、VAIOオリジナルの新製品を準備。その試作開発品を公開するイベントを大阪と名古屋で開催した。イベントは盛況で、VAIOファンの支持が根強いことを示した。こうしたコアのファンに訴求していく。

( 文=本誌/村田晋一郎)

 
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