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「正念場を迎える2015年の日本経済」--武藤敏郎(大和総研理事長)

武藤敏郎氏

武藤敏郎

武藤敏郎(むとう・としろう)
1943年生まれ。東京大学卒業後、大蔵省(現・財務省)入省。主計局長を経て、2000年事務次官に就任。退官後、03年日本銀行副総裁に就任。08年、大和総研理事長に就任(現任)。

 2014年11月に発表された7〜9月期のGDPは2期連続のマイナス成長となりましたが、このマイナス成長を予測した方はほとんどいらっしゃらなかったと思いますね。われわれもプラス成長を想定していました。この発表がショックを与えたのは事実だと思います。15年10月からの消費税引き上げは1年半先送りされました。

 ただ、今後の景気を占うに当たっては、あまり悲観的に見るのはいかがかと思います。

 天候要因もありますので、実態が見えにくくなっていますが、きちんと中身を見れば良い面もあります。

 すべてを消費増税のせいと見る考え方がありますが、これに関しては消費税以外の要因も忘れてはなりません。世界の景気情勢を見渡しても、欧州ではデフレ懸念が強くなっており、依然、経済は停滞しています。中国も成長率の減速が見られており、アメリカが唯一好調を保っていると言えます。

 一時は円安が輸入インフレを招いているところもありましたが、最近は原油価格が低下し、円安の悪影響が相殺されています。しかし、原子力発電が停止状態であることからエネルギー価格が上昇し、コスト高要因となっていますので、中小企業などにとっては影響が大きいですね。

 コストプッシュ型の物価上昇によってインフレターゲット2%に近づいていても、これは望ましくない物価上昇と言うべきで、日本経済が良くなっているわけではありません。

 15年の経済を見る時も、経済の基調がどうなのかということを見極めないといけません。円安が進む展開も考えられます。輸出型の大手製造業などは、円安によって収益が良くなると歓迎する一方で、中小企業は原料高などで苦しくなっています。

 アベノミクスにおける財政出動、金融緩和は一種のカンフル剤ですから、ずっと続けることはできないものです。

 副作用もあるわけですから、効果が副作用に勝っている段階で本当に経済を立て直して、構造改革、即ち第3の矢でエンジンをかけていかねばなりません。

 1年や2年ならカンフル剤も効きますが、長く続くと、効果よりも弊害のほうが勝る可能性さえあります。そういった意味でも、15年は日本経済にとって正念場だと思いますよ。

 しっかりと、経済のかじ取りを行っていかねばならないでしょうね。(談)

(文=本誌/古賀寛明 写真=佐々木 伸)

 
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