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「妖怪ウォッチ」 福岡から世界への道――日野晃博(レベルファイブ社長)

レベルファイブ社長 日野晃博氏

大人気の「妖怪ウォッチ」をはじめ、「レイトン教授」「イナズマイレブン」各シリーズなど、ゲームソフトの企画、制作、販売を行うレベルファイブ。新たな文化を福岡から発信する日野社長に、ヒットの舞台裏、福岡の魅力について話を聞いた。 聞き手=本誌/古賀寛明

「妖怪ウォッチ」が長く愛されるために

―― 「妖怪ウォッチ」を長く愛されるコンテンツにしていくとおっしゃっていましたが、現在の状況は。

(ひの・あきひろ)株式会社レベルファイブ 代表取締役社長/CEO。福岡の開発会社でメインプログラマー、ディレクターを経て、子どもたちにワクワクしてもらえるゲームを作りたいという思いから、1998年10月にレベルファイブを設立。「妖怪ウォッチ」「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」各シリーズなどクロスメディア展開を得意とし、ヒット作を次々とプロデュース。世界累計出荷1550万本を記録した「レイトン教授」シリーズをはじめ、幅広いユーザーに向けた温かみのある作品づくりが特徴。

(ひの・あきひろ)株式会社レベルファイブ 代表取締役社長/CEO。福岡の開発会社でメインプログラマー、ディレクターを経て、子どもたちにワクワクしてもらえるゲームを作りたいという思いから、1998年10月にレベルファイブを設立。「妖怪ウォッチ」「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」各シリーズなどクロスメディア展開を得意とし、ヒット作を次々とプロデュース。世界累計出荷1550万本を記録した「レイトン教授」シリーズをはじめ、幅広いユーザーに向けた温かみのある作品づくりが特徴。

日野 長く愛されるコンテンツにするという点から言えば、まだまだスタートダッシュといった段階です。今年も「妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団/白犬隊」が、外伝とはいえ130万を超える販売数を記録していますから、勢いは持続していますね。人気があるいまの段階を戦略的に持続させていくという第一段階だといえます。

 ただし、子どもたちに対してのアプローチができているとはいえ、一過性のブームと定着していく状態は別物です。昨年は、ブームと定着が重なっていた状態でした。これからは、定着コンテンツとして、毎年売り上げを上げつつ、長く愛されることをテーマにしていきます。

―― 長く愛されるためにどんなことを。

日野 いろんなことを行っていますが、作品に対して僕らが行なっているのは、毎年、毎年、テレビのバラエティ番組のように新しいキャスティングで、新しい企画を入れていく。時代にあったその時のネタでしっかり勝負していくことです。いまの時代を映している、そんな作品にしたいのです。言うなれば、今年は今年の妖怪ウォッチが、来年は来年の妖怪ウォッチがあるということですね。ですから、まだタイトルは言えないのですが、誰もが知っている作品とのコラボレーションも作者同意の下、水面下で進んでいますよ。

―― 子どもだけでなく、大人にも楽しんでもらえる仕掛けがされているとか。

日野 家族で一緒に楽しんでもらいたいので、大人だけが気付くネタを仕込んで、大人が笑ったら、子どもが「いま、なんで笑ったの」と聞くような仕掛けですね。それは、「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」などの家族の話が、普遍的に人気があるのは、家族がそれぞれの立場で感情移入できて、楽しむことができるからだと思うんです。それが、長続きの秘密でしょう。妖怪ウォッチは、少し違うものではあるのですが、お父さんが楽しめる、お母さんが楽しめるといった部分があって、同じ作品を見ても違う楽しみ方ができるように考えています。

「妖怪ウォッチ」のクロスメディア戦略と司令塔としての日野社長

―― レベルファイブはクロスメディア戦略のうまさに定評がありますが、この難しさは。

日野 いろんな作品を通して8年くらい行ってきましたが、アニメもゲームも映画もマンガも業界が違うわけですから、クリエーターの考え方ひとつとっても全く違います。違う水で生きている人たちが、きちんとセッションをするためには、しっかりとした人間関係をつくっていかねばならない、その難しさはありますね。

―― いかにまとめるのですか。

日野 あらゆるクリエーターが、自分の思ったとおりに仕事をしたがりますが、そうすると、やりたいことがバラバラになってしまいます。そこでクロスメディアの管制塔が必要になります。僕がいまその役割を果たしていますが、考え方としては、操縦するのはクリエーターの仕事で、どこにどうやって飛んでいくかは司令塔の役割です。難しいですが、うまくいけばクロスメディアは最大の力を発揮できると思っています。

―― ヒットの予感というものはありますか。

日野 コンテンツがヒットするというのは、いろんな要素がかかわってきます。例えば、作品が100%の出来だとしても、世の中の風が吹いていなければ、動いてくれません。つまり、作品性と、世の中の流れがマッチした時にヒットは生まれると思っています。ですから、少なくとも、作品づくりにおいては完璧につくること、かつ、世の中の流れを把握した作品づくりを行うことで、ヒットの可能性を高めることは可能だと思います。

―― 世界展開の進捗状況は。

日野 今秋からスタートする予定ですので、急ピッチで進んでいます。今回は、海外の大手玩具メーカーのハズブロさんと提携して、大規模なおもちゃ展開を北米だけでなく、欧州でも計画しています。もちろん、アニメやマンガ、ゲームも含めた日本と同等のクロスメディアを展開していく予定です。実際、既に進出した韓国では日本以上の人気コンテンツになっていて、視聴率が他のアニメ番組の2倍から5倍あるそうなんです。

―― 外国人は妖怪をどうとらえるんですかね。

日野 そうですね(笑)。米国で説明したのは、妖怪はモンスターでもクリーチャーでも、ゴーストでもないということを伝えましたね。妖怪は妖怪で、新しい存在ですよ、と説明しました。いまの時点では理解してもらえていますけどね。

―― 北米への展開を視野に入れて、第3弾はUSAが舞台なんですか。

日野 それは全く違います。われわれのゲームづくりのポリシーとしてあるのは、世界を遊ぶ醍醐味です。いままで「さくらニュータウン」という街で物語を進めてきたのですが、いつも同じ世界だと飽きちゃいますから、第3弾は、新しい土地に行って、また新たな場所を探索する楽しみを入れないといけない。それで、「トムソーヤの冒険」が大好きだということもあって、素朴なUSAの片田舎の世界を軸に作品をつくりました。日本ではイカダをつくることなどないですからね。

クリエーターとしての日野社長が生み出す「妖怪ウォッチ」の次の次

―― 日野社長は、経営者であり、クリエーターでもあります。どちらが好きなのでしょうか。

日野 そりゃあもう、クリエーティブですよ。あまり自分を経営者だとは思っていないんです。

 ただ、同時にクリエーターでしかできない経営というものを行っているかなとも思いますね。

 モノを見て状況判断する、モノがこうだからお金をこう使う。モノを見てコトの先行きを判断する。これができるのは、社長兼クリエーターであることの強みだと思いますね。

―― 「福岡をゲームのハリウッドにしたい」とおっしゃっていますが、現状は。

日野 福岡の街を遊びにしても、エンターテインメントにしてもしっかり、本気でやっていこうという旗印の言葉なんですが、正直まだまだですね。ただ、少しずつ周囲の人たちが、この業界に目を向けて、人材を送り込んだり、協力したりしてくださっていますので、まずは夢をかかげていくことが大事ですから、そこはやっていこうと思っています。いずれは、ゲームやエンタメといったものが都市計画に盛り込まれる時が来ると願っています。ただ、その段階までは、まだまだいくつかのハードルがあります。東京に比べ、福岡はどこにいっても同じ街です。東京ですと六本木、原宿と違う顔があります。でも、福岡だと天神と博多に違う性格はなく、都市として1つの顔しかない。街の個性と言うか、その場所に行かなければ、出会うことができない。そんな街が必要だと思っています。

―― 福岡で会社を経営するメリット、デメリットは。

日野 何より福岡は住みやすいですからストレスが少ないですね。東京でクリエーティブな活動を行うよりも間違いなくストレスが少ない。住環境にしても、福岡なら若者でも会社から10分、20分の距離に安く住めます。一方、東京ではとても無理です。通勤時間が長くて、会社に着いた時点で体力を消耗しちゃいます。また、起業もしやすいと思いますよ。人もモノもそろっていますし、東京ほどではないにしろ情報や機能もありますからね。

「妖怪ウォッチ」に続く新たなコンテンツ「スナックワールド」 (C)LEVEL-5 Inc.

「妖怪ウォッチ」に続く新たなコンテンツ「スナックワールド」 (C)LEVEL-5 Inc.

―― デメリットは。

日野 う~ん。もう、東京ではないってところでしょうかね。あらゆるメディアやビジネスが東京に集中していますからね。でも東京と比較しても何の意味もなくて。東京は、東京だから首都機能があるわけですから。

―― 今後の作品については。

日野 毎回違ったものをつくっていきたいですね。妖怪ウォッチの次とその次、そのまた次は決まっています。ちなみに次は、フルCGのアニメとゲームの「スナックワールド」という作品です。4月に開催した発表会(LEVEL5 VISION 2015)にてパイロットムービーを公開し、大変大きな反響をいただきました。いまはどうしても、新しいものに興味がいってしまうので、他のものにも平等の愛情を注ぐようにはしています(笑)。ただ、新しい子が、いちばん手がかかるんです。

 
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