媒体資料
経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

IoTベンチャーの資金集めと出口戦略

IoTベンチャーの資金繰りを支えるクラウドファンディング

 

 センサー、ソフトウェア、接続機器などを組み込んだ「モノ」が革命を起こすだろうと言われている。

 これらの「モノ」が自動収集・分析したデータがインターネットを介してさまざまなところで活用できるようになれば、生産性は向上し、業界の棲み分けや企業活動を大きく変える可能性があるからだ。

 そればかりでなく、我々の日常生活にも多大な影響をもたらすだろう。

 新興の「モノのインターネット」(internet of things=IoT)メーカーは、若者が少額の資金で起業しているケースが多い。

 少人数でユニークなアイデアのデバイスを開発した後、キックスターターやインディゴーゴーなどのクラウドファンディングサイト上で、製品の仕様を公開し、出資者(=製品の予約注文者)を募集するのだ。クラウドファンディングとは群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、不特定多数の人がインターネット経由で応援したい人や組織に財源の提供や協力などを行う仕組みを指す。

 その仕組みとはこうだ。

 例えば、キックスターターを見てスマホから自動的にコーヒーが淹れられるマシーン「 Bruvelo(ブルベロ)」が気に入ったとする。

 通常のネット通販なら注文すればすぐに商品が送られてくるが、クラウドファンディングの場合は違う。価格339ドル(送料込み)で予約すると、2015年10月30日までに目標額の97万5千ドル(約1億1700万円)まで注文が集まれば入手できるが、集まらなければキャンセルされる。

 手に届くまでに時間がかかり、届く保証はない。だが、予約する側も少額で投資家気分が味わえ、画期的な商品を世に送り出す手助けができるというわけだ。

 そして、このようなサイトで多くの消費者の支持を得ると、ベンチャーキャピタルなどからの出資を得やすくなる。

 ただし、いまのところIoTはセンサーを使った平均100~200ドル程度のデバイスが多いため、商品を販売するだけでは巨額の収益は見込めない。

IoTベンチャーが狙うビッグデータの収益化

 

 そこで多くの IoTメーカーが狙っているのは、デバイスから自動収集されるビッグデータを収益化することだ。

 例えば、家庭菜園のスプリンクラーとしてキックスターターとして資金を集めることからスタートした農業デバイス「Edyn」。この土壌センサーは土の温度や湿度、栄養状態などのデータを取得し、それをWi-Fiでスマートフォンを経由してユーザに届ける。ユーザは庭の状態を正確に把握してケアができる。

 また、付属の水バルブは、センサーが土壌の湿度が一定以上低くなったと感知すると、自動的に起動して水やりをしてくれる。

 Edyn自体は60ドルから100ドルで販売されているが、Edynの創業者、ジェイソン・アランブルは最終的なビジョンを「どのような気候条件で、どういった植物が上手く成長するかという点について、膨大なデータベースを築くこと」とWIRED US誌で語っている。

 それが実現すれば、どのようなビジネスが可能になるだろうか。

 例えば、自動収集したユーザの土壌データを肥料メーカーに販売して、新しい肥料の開発に役立ててもらったり、肥料メーカー側からユーザのスマホアプリに新製品の広告を配信して、オンライン購入を促すことができるかもしれない。

 あるいは、土壌データを種苗メーカーに提供すれば、ユーザの土壌に最も適した種や苗の情報を提供し、購入につなげることもできるだろう。

 アランブルはWIRED US誌にこうも語っている。「世界の食料供給事情は、非常に悪い状態が続いており、その深刻さは増すばかりです。ですが、このツールによって、世界中で農業が可能になり、人々が自分の作物を育てられるようになって、食料供給の保証が増すことを期待しています」

 同社の売上の30%は海外からのもので、イタリア、インド、中国、ブラジルでよく売れている。

IoTベンチャーの課題は個人データの取り扱い

 

 IoTはモノが接続機能を持ち、様々なデータを収集することで、これまでブラックボックスになっていた領域の「見える化」や「最適化」を実現する。そこに新たなサービスのポテンシャルや商機があることは確かだ。

 一方で、個人データを企業が勝手に利用することが許されるのか、データは誰のものかという問題があり、その点についてはまだ議論の途上にある。

 一つ言えることは、我々もこのトレンドを見守るのではなく、未来を創るという気概を持って参入しなければ、既存の家電のように、IoT市場でも取り残されてしまうということだ。

 
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