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「これからは異業種との戦い海外出店で成長を加速する」――似鳥昭雄(ニトリホールディングス社長)

ニトリホールディングス社長 似鳥昭雄氏

日本の住宅事情が変化し、家具市場はピーク時の3分の1にまで縮小している。ニトリでも全社売り上げに占める家具の売り上げ比率は4割にまで縮小しているが、積極的な店舗展開で高成長を続けている。2020年以降、世界的にも経済が低成長に向かい、グローバル競争が激化する中で、異業種との戦いでチャンスを広げると似鳥昭雄社長は語る。 聞き手=本誌/村田晋一郎 写真=佐藤元樹

2020年以降は低成長へグローバル競争が激化

(にとり・あきお)1944年生まれ、樺太出身。66年北海学園大学経済学部卒業。67年似鳥家具店を創業、72年似鳥家具卸センターを設立。社名を78年ニトリ家具、86年ニトリに変更を経て、2010年ニトリホールディングスに移行。

(にとり・あきお)1944年生まれ、樺太出身。66年北海学園大学経済学部卒業。67年似鳥家具店を創業、72年似鳥家具卸センターを設立。社名を78年ニトリ家具、86年ニトリに変更を経て、2010年ニトリホールディングスに移行。

 2016年から20年に向けて、本格的な競争時代のスタートに立つことになると思います。理由は、消費税が8%に増税されたのが14年4月で、立て続けに3年後の17年に10%へ増税することになるのは、消費者にはかなり厳しいと思います。世界全体でも08年のリーマンショック以降、緩やかな下降に向かっていると見てます。

 結論から言うと、20年以降は低成長で、極端に上がりも下がりもしない、ほぼフラットな状態で進むのではないでしょうか。世界では、アメリカ、ヨーロッパ、中国という3つの軸があり、アメリカは、16年は多少良いものの17年以降は下降に入る。中国は今、多少下降に入ってきた。ヨーロッパは低成長が続いている。ですから、アメリカが多少上向いているのに対して、中国が下がって、16年くらいまではバランスが何となく保たれるが、17年には世界的に下降に入っていく。それに重なって、日本では消費税が上がります。

 また、20年の東京オリンピックは、18年で建物の投資が終わります。それ以降は景気が少し落ちることは過去のオリンピックの例でも示されています。17年に消費税増税、18年がオリンピックの投資終了となるため、17年以降はグローバルで低成長に向かうでしょう。そして低成長だからこそ、各業種ともに本格的な厳しい競争にさらされることになります。

 今までは競合すると言っても、大手企業は比較的安泰でした。しかし、これからは大企業も中小企業も、すべてが生き残り競争に入り、最後には寡占化の時代がやってきます。

 それだけに私たちにはやりがいがあると言うか、チャンスがあると思います。われわれは家具業界ではトップですが、これからは異業種と競争していくことになりますから、そこでチャンスが広がることは大きいと思います。

 将来展望について、家具業界だけでは、あまり考えていません。家具業界は衰退の一途で、当社でも今は家具の売り上げは全体の40%にすぎません。今後も恐らくだんだんと減っていき、ホームファッションのほうが増えていくと見ています。

 日本の住宅事情が変わっていき、家具の要らない住宅に転換しています。備え付けのクローゼットのようなものが増えてきて、そもそも住宅に家具が要らなくなっている。洋服タンスや整理タンスなどの箱物が要らなくなり、昔は婚礼タンスなどもありましたが、今は少なくなりました。あるのは、ソファーやベッド、ダイニング用品などの四脚家具だけで、その取り合いになってきます。当社は今、ベトナム工場でソファーやベッドマットをつくっていますし、今度はダイニング工場もつくろうとしています。そこは気を抜かないでやっていきます。

 日本の家具市場が3兆円から1兆円に減り、当社としても家具の売り上げが100%の時代から現在の40%になるのは、当たり前の話です。しかし家具業界が衰退していると言ってもまだ1兆円以上はあるわけです。寡占化のシェアの限界は25%と言われており、当社のシェアも20%くらいですから、まだまだ少しはいけるのではないかと思っています。加えてホームファッション市場はまだ伸びる余地がありますから、当社にもチャンスは多いと感じています。

中国出店に注力国内は都心部に展開

 当社としては毎年50店ペースで出店を増やしていく方針です。16年は470店ぐらいになりますが、17年度は500店という大きな目標があります。特に中国出店に力を入れています。現在の毎年の出店ペースは海外10店舗、日本40店舗です。海外10店舗のうち、台湾が5店舗、中国が5店舗ですが、今後、中国が10店舗、20店舗に増えれば、そのぶん増えてくると思いますが、まだそこは完全には見えていません。

 逆にアメリカは今、出店を中断していて、ロサンゼルスの5店舗のままで、いろいろな調査をしています。グローバル競争という意味では、ヨーロッパへの展開はまだ先の話で、アメリカで成功しないとヨーロッパに行っても無理だと思います。現在はアジアが中心ですが、アジアは日本の商品の3分の2ぐらいがそのまま通用します。一方、アメリカで通用するものは2割ぐらいです。アメリカに合うものができればヨーロッパに展開できると思います。

 日本国内の店舗展開は、以前は東日本が多かったのですが、東日本と西日本の店舗数の比率はほぼ半々になって平準化しています。16年春には大阪・枚方に1万8千坪のニトリモールが開業します。約60店舗が入る予定で、楽しみの1つです。これから大阪や関東都心、東京23区など都心部の出店が目白押しです。都心部はやはり土地が高いですが、当社もそういった土地を買うことができるようになったということです。3年ぐらい前から買ってあった都心の土地を、今少しずつ建てている状況です。今後は都市部の出店も増やしていきます。

出店ノウハウの蓄積で今後の成長が加速

 将来のビジョンは、創業した頃に定めた「60年計画」があり、現在ほぼ予定通りに進んでいます。最終的には「32年に3千店舗、売上高3兆円」を目標にしています。

 まず02年までの第1期30年計画が終わって、現在は32年までの第2期30年計画の途中です。その初めの10年の目標は「300店舗、売上高3500億円」で、それは予定通り達成しました。次の10年の目標は「1千店舗、売上高1兆円」で、現在は中間地点にさしかかっています。

 店舗の伸び方は尻上がりに増えていくイメージですが、出店するごとにやり方が標準化されて、出店のノウハウも付いてきます。最初の10店舗、20店舗をつくるのは大変でしたが、店のつくり方が分かってくれば、例えば、一気に同時2店舗オープンも可能になってきます。

 日本はこれからそれほど伸びないですが、中国は逆にこういう感じで伸びていくと思います。最初は毎年5店舗ぐらいずつで、そのうち年10店舗、20店舗、50店舗と増やしていけるでしょう。過去の日本での店舗拡大がそうだったので、中国の今後の伸び方もある程度は想定しています。

 16年2月期は増収増益の計画ですが、予定通りいけば29期連続となります。その次の17年2月期に増収増益を達成すると30期連続になりますので、区切りの30期連続はぜひ成し遂げたいと思っています。(談)

 
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