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IoT時代に必要なセキュリティー技術の世界標準を目指す――江川 将偉(SELTECH代表取締役社長)

あらゆるものがネットに繋がる“IoT”社会がいよいよ本格的に始まる。課題はセキュリティー。SELTECHは画期的なセキュリティー技術を開発し、IoT社会の安心・安全に貢献する。

江川将偉

株式会社SELTECH
代表取締役社長
江川 将偉(えがわ・しょうい)

IoT社会は日常生活の利便性が格段に向上し、生活様式が一変しかねない大変革だ。その半面、高い「安心・安全」を要求されるため、自動車や家電などのIoT機器の“脆弱なセキュリティー”という大きな問題を抱えている。この課題を解決する技術を開発したのがSELTECHで、同社社長の江川将偉氏は「当社の技術であるFEXER OX(フェザーオックス)は、1つのCPU上に2つ以上のOSを走らせる技術です。2つ目のOSはセキュリティー専用にすることで車の乗っ取りや、家電のハッキングを防ぐことができるのです」と語る。

FEXER OXは、自動運転技術が急速に進歩している大手自動車メーカーの車載CPUへの搭載を見込んでいる。自動運転システムが乗っ取られたら、人命にかかわる重大事故に発展する懸念があるからだ。しかし応用はそれだけにはとどまらない。実はIoTの分野では、まだセキュリティーの標準規格が確立していない。「2020年には少なく見積もっても500億個のCPUがIoT製品の頭脳として世に出て来ます。そのすべてにFEXER OXが搭載されるようにしたいですね」(江川氏)

FEXER OXは日本が得意とする“組込ソフトウェア”の延長線上にある。しかし、最近ではアプリ開発技術者が増加し、組込みソフトの技術が廃れつつあったという。そこで同社では、FEXER OXが可能にする複数のOS上で動くプログラム開発ができる組込ソフト人材の育成事業も開始する。

IoT社会でのセキュリティー技術で新たなマーケットを作りあげていく土台は人材にある。その発掘と育成にも熱い情熱を持っている。

株式会社SELTECH

  • 設立/2009年9月
  • 資本金/1億2788万円(資本準備金含む)
  • 事業内容/IoT向け仮想化技術・セキュリティー技術の開発・販売。音声認識と人工知能を組み合わせたシステムの開発・販売
  • 会社ホームページ/http://seltech.co.jp/

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