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チェックの甘さ露呈教訓が生きなかったスキーバス転落事故――国土交通省

霞が関 番記者レポート

 長野県軽井沢町で学生ら多数が死亡したスキーバス転落事故が発生。バス事業者とスキーツアーを企画した旅行業者の双方を所管する国土交通省は対応に追われた。調査の経過では業者のずさんな業務実態が次々と発覚。国交省は1月22日に再発防止策を検討する有識者会議の設置を明らかにしたが、実効性への疑問もささやかれている。

 事故は軽井沢町の国道18号線碓井バイパスで1月15日、スキー客39人を乗せた大型バスがガードレールを突き破り、道路脇斜面に転落した。大型バスをめぐっては2012年に7人が死亡した関越自動車道の事故で規制が強化されたばかり。事態を重くみた国交省は、初日からバス事業者「イーエスピー」と旅行業者「キースツアー」に対する調査に乗り出した。

 だが、調査で明らかになったのは、過去の教訓が生かされていない実態の数々だった。両社が合意していた運賃は、国交省が安全運行を担保する目的で設定した基準額を大きく下回り、ルートや休憩場所などを記した運行指示書は未作成。運転手の健康状態を把握するための乗車前点呼も行われていなかった。

 皮肉にも国交省は昨年2月にもイー社を監査、複数の運転手の健康診断未受診に対する行政指導を事故の2日前に実施した矢先だった。事故後の調査で法令違反が次々に発覚したことにより、国交省のチェック体制の甘さまで浮き彫りにされる結果となった。

 1月20日に開かれた自民党の国土交通部会では「監査体制はどうなっているのか」「事業参入の基準が甘いのではないか」などの批判が噴出した。石井啓一国交相も22日の閣議後会見で「これまでの監査には課題があった」と釈明した。

 国交省は有識者会議を立ち上げ、今夏までに具体的な再発防止策をとりまとめる方針。だが、運転手不足や観光業者との力関係といったバス事業者の構造問題が遠因との指摘もあり、国交省がどこまで踏み込んだ対策を打ち出せるかは見通せない状況だ。

 
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