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消費増税延期の裏で異例の人事が行われた理由――財務省

霞が関番記者レポート

消費増税延期と財務省人事の関係

 予想どおりというべきだろうか。6月1日、安倍晋三首相が来年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げ延期を正式に表明した。さらに翌2日には、新聞やネットニュースが相次いで田中一穂財務次官が退任し、佐藤慎一主税局長が昇格する財務省の人事を報じた。

 どちらかと言えば、霞が関では、安倍首相の消費税の延期表明ほど、佐藤氏の次官就任は「確実」とはみられていなかった。「55年組」で唯一残った次官候補とは言え、佐藤氏が昨年末の「軽減税率」騒動で官邸の意向に逆らったことで、キャリアを傷付けたというのが大方の見方だった。

 しかし、官邸は佐藤次官の誕生を容認した。人事に全精力を傾けている菅義偉官房長官としても、そうすることが最もメリットがあると判断したということだろう。第1次安倍内閣で首相秘書官を務めた田中氏は首相との信頼関係を誇ってきた。木下康司氏、香川俊介氏と共に「54年組」の3人が次官を順に務める人事が実現したことも、それと無縁ではない。

 首相周辺からどれだけ引き上げ延期ムードが漂っても、財務省は沈黙を貫いた。裏では、大型の減税や経済対策が検討されたというが、最終的には首相の決断を見守った。菅氏が、佐藤氏ら今の幹部であれば「御しやすい」と映った可能性は多分にある。

 とは言え、今回の引き上げ延期が火種を残したのも事実。前回の延期、軽減税率と負け続きで、首相が延期の布石として、伊勢志摩サミットでリーマンショック並みの危機を訴えた「リーマンペーパー」の作成にも関与させてもらえなかった。

 省内にはある種の諦めとともに、幹部への不満もくすぶっている。財務次官は予算編成を担当する主計局長からの昇格が多く、佐藤氏のような主税局長からの直接昇格は35年ぶりで異例。職員をまとめ、力を盛り上げていくか。まずはお手並み拝見である。

 
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