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AIで転職活動はどう変わるのか――峯尾太郎・インテリジェンス社長に聞く

インテリジェンス社長 峯尾太郎氏

 総合人材サービスのテンプホールディングスのグループ会社、インテリジェンス。正社員領域の転職サービス「DODA(デューダ)」やアルバイト求人情報サービス「an(アン)」を運営する。1989年に創業後、2006年の学生援護会との経営統合などを経て、13年にテンプHDの子会社となった。

人手不足解消にAI活用

 厚生労働省が発表した2016年5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.36倍と24年7カ月ぶりの高水準だ。企業も新規事業立ち上げなど事業拡大を急ぎたい中で、即戦力の中途採用を求める動きも強まっている。活況を呈する人材サービス業界にあって、インテリジェンスも、転職サイト「DODA」を刷新した。新サイトは人工知能(AI)が会員のプロフィール情報(職種、業種、経験年数など)や、求人情報に書かれた言語データなど、約400万のさまざまな利用者データを分析してお勧めの求人を提案する機能も搭載した。初めて転職する求職者向けにスマートフォン向けの日程管理アプリなども配信する。

 「1~2年くらい前までは、私たちの業界の売り上げや有効求人倍率と、景気動向指数との連動性は極めて高いものがありました。しかし、ここへ来て一致しなくなってきている。すなわち、景気の先行きに不透明感をはらんでいるものの、一方で有効求人倍率は上昇し続けているのです。急速に労働人口が減少し、人手不足が顕著になっています。総務省の国勢調査によると、10年から15年までの5年で300万人の労働力人口が減少し、6千万人を割るのも目前といわれています。団塊世代が10年以降退職を迎えたことや、若年労働力人口の減少が影響しています」と峯尾太郎社長は説明する。

 総人口の減少に伴い、労働力不足は深刻だ。グループ会社のHITO総合研究所推計によると、情報通信・サービス業の482万人を筆頭に、25年時点で583万人の人手が不足するとみられる。その解消のためには、働く女性を増やす(313万人)、働くシニアを増やす(121万人)、日本で働く外国人を増やす(34万人)、生産性を上げる(114万人)としている。

 インテリジェンスでは、経産省から「人活」支援サービス創出事業を受託し、40代.50代のミドルシニア人材の成長分野へのキャリアチェンジを支援している(16年3月受託終了)。成熟分野での経験を持つミドル世代が、成長分野等の研修を受講し、その分野の企業で就業する。これは日本の労働市場の構造的な問題に対処するが、一朝一夕には進まない難しさがあるだけに、マッチングのさまざまな場面でのAI活用は有効と思われる。

入社前だけでなく入社後にも活用

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 「ITコンサルタントの方が、事業会社でのシステム構築の仕事を探していたとします。ご本人はもちろんITの分野の知識を生かしたいと考えている訳ですが、その方のキャリアからは、不動産デベロッパーへの転身もマッチするかもしれないとAIが提案する可能性もある。ITコンサルタントも、不動産デベロッパーも、いずれも長期間大人数が関わるプロジェクトの進行管理・予算管理・品質管理を行うというところは似ているんですね。自分では気付いていない分野をAIが示してくれることがあります。また、キャリアアドバイザーが個人の職歴や希望を聞き、自らの知見に基づいて企業をご紹介していますが、これをAIで精度を高めたり、あるいはキャリアアドバイザーでさえ気が付かなかったマッチング案を補足してくれたりする仕組みを構築中です。反対に、企業からオーダーを頂いて、アプローチする転職希望者を探すときにAIを活用する。ここでは当初のオーダーから類推し、別のキャリアがあるこんな方もいらっしゃる、といった提案もできます。転職希望者、キャリアアドバイザー、企業のいずれにとってもマッチングの幅を広げる可能性があると思っています」

 1月からサービス提供を開始したダイレクト・ソーシングサービス「DODA Recruiters(デューダ・リクルーターズ)」は、転職希望者のデータベースを企業向けに公開し、人材を採用したい企業が直接個人にアプローチできる。4月には独自開発したAI型マッチングアルゴリズムをシステムに搭載。数十万件の選考・入社データから、企業の採用に見合った人材をレコメンドする。

 「当社のグループ会社が出資している米国の会社では、AIによって社員の情報を有効活用できないかと取り組んでいます。人材の価値を高めて生産性を上げるために配置転換をするとか、将来の離職を予想して、人事が事前にケアをするといったことです。AIは入社前だけでなく、こうした入社後のプロセスにも活用できる可能性があります。AIにどんどんデータを積み上げていくことで精度を高め続けていくことになりますが、その先にはどんな世界が待ち受けているのか。研究の余地は大いにあります」と、成長を一層加速させる取り組みは続く。

 

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