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新規公開株を狙うには主幹事会社の利用が不可欠――髙村正人(SBI証券社長)

SBI証券社長 髙村正人氏

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初値が公開価格を大きく上回るケースが相次いでいるIPO市場。そこで重要なのが、主幹事証券会社。新規公開株の8割を引き受けるため、手に入れたければ、主幹事を通す以外の道は極めて困難だ。そこで最近、主幹事件数が伸びているSBI証券の髙村正人社長に話を聞いた。

リーマンショックで激変した主幹事証券

―― 今年のIPO市場はいかがでしたか。

髙村 IPO市場は以前に比べると東証の審査が厳格化されたこともあり、投資家にとって不透明感が軽減されました。特に新興市場におけるIPO株は、小粒でも成長性の期待できる銘柄が多いこともあり人気となっています。しかも全体の相場のダイナミズムが減退していることもあり、おのずとIPO株に注目が集まります。

 しかし公募・売出ボリュームが少なく、オーバーブックになるケースが多いため、初値が売り出し価格の2~3倍になるのも致し方ない状況です。

―― 11月1日時点で、今年IPOした企業数は64社。このままいけば90社前後となりそうです。この数についてはどうですか。

髙村 2000年頃には200社を超えていましたが、いたずらに数が多ければいいというものではありません。当時上場した企業が今どうなっているか。上場してからの企業の永続性を考えると、100社前後がほどよいのではないかと思います。

―― 活況を呈するIPO市場ですが、SBI証券は今年8社の主幹事証券を務め、過去最高に並びました。

髙村 承認済みを含めると現在9社で、記録を更新しました。年末までにはもう数社の上場がありそうですから、初の2桁が見えてきました。

 当社が主幹事証券業務に取り組み始めたのは05年からです。当時は年間1社か2社の主幹事を務めるのがせいぜいでしたが、12年から5社以上の主幹事となり、伸び続けています。

―― 主幹事証券ランキングでは、現在5位につけています。なぜ、主幹事件数が増えているのですか。

髙村 ひとつには、リーマンショック以降、IPO業務を縮小・撤退した証券会社が増えたことです。でもSBIグループには、「新産業クリエーターであれ」という理念があるため、撤退も縮小もせず、業務を続けてきました。そこで実績を重ねるにつれ、引き合いも増えてきました。

 もうひとつ大きいのは、SBI証券はネット証券の最大手で、個人投資家シェアは35・7%に達しています。IPO株の主たる市場であるマザーズやナスダックにおいては個人投資家の売買シェアが7割を超えています。ですから発行会社(IPOをする会社)にとっても、SBI証券の存在は無視できません。主幹事でなくても、セカンドオピニオンを求められることが増え、その結果、IPO引受関与率(主幹事および幹事)は92%と、圧倒的1位となっています。

 このようにIPO引受に関与していると、最初は主幹事ではなくても、途中で他社から切り替わることもあります。価格やスケジュールで発行会社と主幹事が折り合わないこともあるからです。当社はこれまで39社の主幹事を務めてきましたが、約半分が途中から主幹事を引き受けた案件です。

上場した会社が次の会社を紹介

―― 他の証券会社が上場は無理だと判断したものでも、SBI証券なら上場させてくれるということではないですか。

髙村 そういうことではありません。当然企業審査を厳格にやる前提ですが、IPOを引き受けるにはコストも掛かります。小型案件の場合、主幹事を務めても採算割れする場合もあります。その点、当社は低コスト体質ですから採算が合わせやすい。それが当社の強みです。

 ありがたいのは、実績が増えるにつれ、A社の主幹事を務めたあと、同業態のB社から声がかかるケースが増えていることです。当社が主幹事でIPOした会社が他社に紹介してくれる。もし当社の引受業務に不満があったら、リコメンドをしてくれることはないでしょうから、これは誇っていいと思います。

 さらに当社は、上場後のサポートにも力を入れています。専門部隊を設置し、資本政策を立案し、資金調達や東証一部への指定替えなどのサポートを行うことで、発行会社と関わっていく。指定替えのためには株主数を増やす必要がありますが、それには当社の持つ販売力や株式の販売動向に関するやビッグデータが力を発揮します。

―― 主幹事会社は他の引受会社に比べると、売り出し株の割り当てが圧倒的に多い。そうなるとIPO株に興味がある投資家は、必然的にSBI証券に口座を持つことになります。

髙村 おっしゃるとおりで、主幹事会社への割当比率は一般的に80~85%になります。ですから主幹事証券会社以外から新規公開株を公開価格で買うことは非常に難しい。そして主幹事の件数が増えるにつれ、当社の口座数も増えています。それによって当社の存在感が増し、主幹事を引き受けやすくなる。その好循環が起きています。

―― 今後も幹事証券数を伸ばしていく方針ですか。

髙村 そのつもりです。今年2桁を達成のめどが立ったので、次は15社です。主幹事ランキングで3位以内を目指していきますし、そのくらいの引き合いは出てきています。

 

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