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爆買いから越境ECへ ヤマトホールディングスの目のつけどころ

爆買いが一段落した後の戦略が問われる

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爆買いが一段落した後の戦略が問われる

訪日外国人観光客数は、2000万人を突破し順調に伸びているが、爆買いの終わりなどで、1人当たりの消費額は減っている。ただ、訪日客が自国に戻り、ECサイトで日本製品を購入するなど越境ECは拡大中。今、新市場への参入も大きなビジネスになっている。文=本誌/古賀寛明

24時間で1兆8千億円稼ぐ

 毎年11月11日は、1(シングル)が続くということで、独身の日と呼ばれる。寂しい自分へのプレゼントをネットで買おうと、2009年から中国で始まったキャンペーンである。いまや世界最大のオンラインセールとなったこのイベント。仕掛けたのは、アリババ傘下の天猫(テンマオ、通称Tモール)だが、いまや中国の他のECサイトも同日にセールを行い、日本でもヤフージャパンが「いい(11)買い物の日」といったセールを行うなど、世界的な買い物デーになりつつある。

 驚くべきはTモールのこの日の売り上げ。なんと1日で1207億元も売り上げる。1元=15円で計算すれば、約1兆8100億円にものぼる。日本のBtoCの市場規模が13.8兆円(15年、経産省調べ)ということを考えれば、中国の購買力のすごさが分かるはず。国境を越えて海外から商品を購入する国際部門もあり、国別では米国を抜いて初めて日本が売り上げトップに立ち、日本製品の人気の高さが証明された。

 人気の日本商品はユニクロなどのカジュアル衣料や花王の「メリーズ」といった紙おむつ、化粧品や薬などの生活品、日用品が主流で、人気の理由には、自国製品への不安の裏返しであるメードインジャパンへの信頼が大きい。肌につける、口に入れる、子どもに使うものなどは、中国国内メーカーのものではなく、安全性も高く高品質の日本産の商品が求められているという。さらに、現在、訪日観光客がおみやげとして買って帰る人気のお菓子は、ネット上でも人気商品となっている。訪日外国人2千万人の4人に1人、約500万人の中国人観光客が、旅先である日本で気に入った商品を帰国後もリピーターとして購入するといったサイクルができあがりつつあるのだ。

 中国のみならず世界規模で拡大する新たなフロンティアを前にして、日本企業も指をくわえて見ているだけというのはあり得ない。しかし、中国という国のむずかしさもあり、海外への輸出は容易ではない。関税負担に加え、配送の時間、掛かるコストを考えれば、量で打開できる大手企業はともかく中小企業にとってのハードルは高い。たとえ一念発起で進出しても、通関制度がいつ変わるか分からない中国であれば見通しも立てづらい。実際、今年5月にも越境ECの通関が厳格化されるという話も出ている。

リスクを肩代わりする参入ビジネス

 こうした現状に目をつけたのが、物流大手のヤマトホールディングス。上海や香港で既に宅急便を始めるなど、中国にも知見のある同社が課題解決ビジネスに取り組んでいる。

 16年4月には、グループ子会社が中国ECモール大手の京東商城などと連携して、京東傘下のECモールに日本企業の「出店」、「出品」のサポートを始めている。また、11月の下旬には、中国国営企業の上海国際港務集団傘下の上海集団物流、ソフトウエアやIT企業などとともに合弁会社を設立し、日本の卸や消費財メーカーと中国の小売業者、ECモール出店事業者を結ぶ越境流通プラットフォーム事業を始めた。

 扱う商品も中国国内で需要の高い日用品、化粧品、衛生用品に絞り、受注発注管理、貿易、物流、決済、販路といった進出のネックになる問題を合弁会社が肩代わりする。負担を軽減することで、進出企業にとっては繁雑で複雑な通関、検疫といった手続きを任せ、新たな市場開拓に専念できるようになる。また、BtoCのビジネスではないため、日数に余裕が生まれ船便を使いコストも抑えることができるなどメリットも多い。

 とはいえ、日本製品だから売れるということはなく、販路も上海集団に店舗網があるからといって、何もしなくても買ってくれるわけではない。

 前述したとおり、中国では訪日観光客への売れ筋商品が、ECでも人気だ。それを考えれば、彼らに対するプロモーションをうまく行うことが、中国国内での売り上げにもつながる。

 爆買いがなくなり、訪日観光客の消費額も、その主役である中国人旅行者の1人当たりの消費額をみれば、22万7821円(16年7~9月期)と、前年比で18.9%も減っている。しかし、買い物額は15年の1人当たり14万1千円から減ったとはいえ、まだ10万2千円もある。さらに、16年1月から10月までに訪日中国人観光客は551万人、前年同期比で120万人も増えている。そこに、帰国後、越境ECで日本製品を購入してもらえれば、爆買いを上回る金額を生み出すことができる。

 視点を変えれば、海外へ進出していない企業にとっても、訪日観光客はただの一見客ではなく、未来永劫の顧客になる可能性がでてきたのだ。経済産業省の試算では、15年に7956億円だった中国の対日本の越境EC市場規模は、19年には2兆3359億円まで拡大する。

 新たな市場を目の前に、獲らぬタヌキの……、となってはまずいが、インバウンド客が福の神に見えてくるはずだ。

 
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