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子ども国債創設による歳出拡大に反発――財務省

子供 新たな財源確保の奇手として浮上している「子ども国債」の創設について財務省が神経を尖らせている。

教育や子育て政策の安定財源とすることで、将来的に子どもが増え、税収増も見込めるとの触れ込みだが、実質は“借金”。歳出膨張と際限ない国債発行につながる恐れがある。

子ども国債は財務省OBである民進党の玉木雄一郎衆院議員などが提唱、民進党の次期衆院選の公約原案にも盛り込まれた。厳しい財政状況の中、公共事業を実施するための建設国債のように使途を限った国債を発行して、財源調達する狙いだ。

日本の歳出は医療や介護など高齢者偏重で、子育てや教育向け予算は他の先進国と比べて少ない。子ども国債によって財源を確保し、国が子育てや教育を支援すれば「子育て世帯は支出を他の消費に回して経済が上向き、出生率が上昇すれば将来的に納税者も増える」という見立てがある。

具体的な使い道としては、幼児教育や大学教育までの無償化などが挙がっている。財務省が懸念しているのはそこだ。教育無償化を打ち出している与党の公明党や野党の日本維新の会などからも賛同者が出かねない。首相周辺には、国債発行を増やしてでも財政出動を行ったほうがデフレ脱却には近道との意見が根強い。安倍官邸は国債発行を抑制するスタンスを維持してきたが、“渡りに船”と乗る恐れがある。

しかし、「名称が何になっても借金に変わりはない」(財務省幹部)。今や毎年の歳出が100兆円になろうとしている中、教育予算をはじめ歳出拡大に拍車が掛かってしまう。

民進党には毎年5兆円規模の子ども国債を発行するという案もあり、消費税ならさらに2%の引き上げに相当する。米国のトランプ新政権はじめ、世界各国で財政拡大路線への転換が顕著になる中、2019年10月の税率10%への引き上げに対しても政府内で否定的な意見が出始めており、財務省は頭を悩ませている。

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