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混迷続く大塚家具に考えられる3つのシナリオ

大塚家具

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大塚家具の業績悪化が止まらない。先日発表した前12月決算では、売上高の大幅減に加え過去最悪の赤字を計上した。2年前のお家騒動が尾を引き、客足が離れたのが原因だ。リユース事業など新規事業に力を入れるが果たして復活の道はあるのかどうか。文=ジャーナリスト/松尾智樹

減り続ける売り上げ、顧客

 「中期経営計画」――。3カ年の経営計画を策定し、それに基づいて経営を行っていく。当然、計画なので未達に終わることもある。その場合は、なぜ未達だったかを分析し、次の経営計画に反映させていく。多くの企業が採用しているシステムだ。環境変化が急で、計画と実績の乖離が大きい場合は、計画の見直しを行うこともある。しかし、計画を完全に取り下げるケースはそれほど多くない。

 それをやったのが大塚家具だ。

同社の2月10日付ニュースリリースにこうある。

 《当初想定しておりました前提条件が大きく変わっており、また、平成28年12月期において大幅な営業損失を計上し、中期経営計画最終年度(平成29年12月期)の目標達成が困難となったことから、現在の中期経営計画をいったん取り下げることといたしましたのでお知らせいたします》

 それほどまでに大塚家具は追い込まれている。中計取り下げと同時に発表した2016年12月期決算(非連結)がそれを物語る。売上高は前年比20.2%減の463億円、営業損益は45億9700万円、最終損益は45億6700万円のそれぞれ赤字だった。過去にリーマンショックの影響で赤字に転落した時も(09年12月期)、営業赤字、最終赤字ともに14億円台であり、前期の赤字の3分の1にすぎない。今回の赤字は過去最悪だ。

 とにかく客離れが止まらない。

 【89、96、88、102、53、61、91、73、86、91、58、79、94】

 これは昨年1月から、今年1月までの13カ月の、店舗売上高の前年同月比だ(単位:%、小数点以下切り捨て)。見て分かるように、前年を上回ったのはわずか1度だけだ。

 大塚家具の創業者である大塚勝久氏と、長女の久美子氏の対立が表面化したのは14年のこと。会員制で高級品を扱う勝彦氏のやり方と、もっと間口を広げ、入りやすく買いやすい店舗を目指した久美子氏の、経営方針をめぐる戦いだった。勝彦会長が久美子社長を解任したことで確執は表面化したが、その後久美子氏が社長に返り咲くなどの曲折を経て、15年3月の株主総会で勝久氏が取締役を解任され、決着がついた。多くの株主、そして社員も久美子社長を支持した。

 久美子社長が父親の路線を切り替えたのはある意味当然だった。大塚家具の売上高は07年12月期の727億円をピークに下がり続けており、14年12月期には555億円と2割以上も落ち込んだ。従来路線が通用しないのは明らかだった。

 しかし、久美子社長の路線は、消費者に支持されなかった。なぜか。先日の決算会見の席で、久美子社長は次のように語っている。

 「高額品だけでなく商品の幅広さを伝えるはずだったのに、店舗オープン化の路線転換が低価格へのシフトという形で消費者に伝わってしまった」

 前述のように、久美子社長は入りやすく買いやすい大塚家具を目指した。しかし消費者はそれを高級路線から低価格路線への変化と受け止めた。会見の最後に久美子社長がいみじくも言った「ニトリやイケアと競合しようとしているわけではない」という言葉に、久美子社長の無念が表れている。

地道な取り組みも時間との勝負

 ではこれから大塚家具はどうなっていくのか。

 昨年秋から、大塚家具はリユース事業に取り組み始めた。他社製品でも買い取り、補修して販売する事業だ。本当にいいものを長く使ってもらうと同時に、家具の買い替えを促す狙いもある。ただしこれは緒に就いたばかり。何よりこの事業で、地に落ちたイメージを上昇させようとしても無理がある。一歩一歩地道に、新しい大塚家具の魅力を顧客に理解してもらうしかない。一度、地に落ちた評判も、最善を尽くしていればいつか上向いてくる。

 問題は、時間が持つかどうか。このまま苦境が続けば、当然、社員の待遇にも影響してくる。親子喧嘩の時は長女側についた社員も、そうなれば、「昔のほうが良かった」思うようになる。こうなれば士気は上がらず、回復への時間も余計にかかる。また財務的にも、前12月期末の現預金は38億円と、1年前の109億円から激減した。このままの状況が続けば、キャッシュ不足に陥る日も近い。もっとも大塚家具は無借金会社のため、融資により当座をしのぐことはできるが、そうなると今度は、経営の自由度が狭まってくる。金融機関の「指導」のもと、再建に取り組まざるを得ない。

 そして最後の選択肢が、M&Aだ。大塚家具は全国に18の店舗網を持ち、減少したとはいえ500億円近い売り上げがある。そこに価値を見いだすファンドや企業もあるはずだ。しがらみにとらわれない大胆な策を講じることで、新たなる価値を生み出すことができるかもしれない。しかしそうなった場合、当然のことながら久美子社長はその座を追われることになる。

 大塚家具は、3月に、取り下げた中期経営計画に代わる経営計画を発表する。そこで何を打ち出し、どう実行していくのか。大塚家具の存続を賭けた戦いがこれから始まる。

 

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