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貸し出し需要鈍化で収益モデルの転換を迫られる地銀―金融庁

金融庁正面画像

経営悪化に苦しむ地銀

 地域銀行の経営環境が悪化している。

 金融庁が6月2日に発表した地銀106行の2017年3月期決算概要によると、単体ベースの最終損益の合計は前年比14.7%減の1兆2億円の黒字だった。日銀のマイナス金利政策で貸出金利ざやが縮小したことで、2年ぶりに減少に転じた。

 少子高齢化も進み、貸し出し需要は今後伸び悩むことが予想される。金融庁は地銀に対し、利ざやで稼ぐ従来の収益モデルから脱却し、地域経済への貢献を通じ経営基盤を強化して持続可能なビジネスモデルを構築することを求めている。

 決算概要によると、本業のもうけを示す実質業務純益も、同19.3%減の1兆2834億円と振るわなかった。投資信託などの販売が低迷したほか、外国債券の運用で損失を計上した地銀もあった。

 17年3月期末の貸出金残高は251兆円だった。前期末に比べて増えたものの、住宅ローンなど不動産向けの低利融資が中心だといい、貸し出しが増えても収益につながっていない実態が浮かび上がった。今回の決算概要は、金融庁の懸念が現実のものとなりつつあることを示す結果となった。

従来の収益モデルは限界に

 金融庁の森信親長官は5月に都内で行った講演で、「貸し出し業務で利益を上げるのが難しくなっている地域の金融機関が増えてきている」と指摘。「地域の金融機関は国内の貸し出しが主な収益源だが、生産年齢人口が減少を続ける中、貸し出し需要は減る。すべての銀行で貸し出しが伸びるというのは、マクロ的にみて成り立たない」と断言した。

 こうした中、地銀はもがいている。経営環境が悪化している地力の弱い地銀は収益不足を補うため、外国債券や投資信託の運用、アパートローンの拡大などに走っている。しかし「抜本的な解決策にはなっていない」(森長官)のが現状だ。

 森長官は、将来性のある企業を発掘し融資することなどを通じ、「取引先の企業の経営を安定化させれば、みずからの経営の安定も図れる」とビジネスモデルの変革を迫った。

 金融庁は、25年3月期には地銀の6割超が本業の貸し出し業務などで赤字になると試算。銀行が役割を果たせなくなれば、政府が目指す地域活性化やデフレ脱却も難しい。

 「課題解決に向けた対応を早期に促すのもわれわれの業務のひとつだ」(森長官)。地銀に対する金融庁の危機感は、日増しに強くなっている。

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